ウルトラジャンプ2019年8月号に掲載されたジョジョリオン88話のあらすじと感想を、ジョジョ歴30年の管理人やまぴーがネタバレありで語らせていただきます。
※これまでのジョジョ全般のネタバレにも触れていますのでご注意ください。
ウルジャン8月号の発売に合わせて、ジョジョリオン21巻も発売。
今回も同じコンセプト、違う構図による2バージョン。
ソフト&ウェットが同化しているのは、本編でも登場している瞑想の松でしょうか。それとも日没までに使いきれずシュガーマウンテンに取り込まれたのか。
前回のあらすじを忘れた人は↓
ジョジョリオン88話のあらすじと感想
襲われる常敏とつるぎ
扉絵は表紙と同じようにフワリと浮く東方定助(ひがしかたじょうすけ)。主人公ながら今回の出番はここだけ。
アオリは
その果実は世界を揺らす――
次ページでは先月号に続き、オージローこと笹目桜二郎(ささめおうじろう)の攻撃を受けてパニックになる東方(ひがしかた)つるぎと、父である東方常敏(ひがしかたじょうびん)。
アオリは
奴は上にいる…
つるぎの左手に付けられたオージローのスタンド、ファン・ファン・ファンの刻印は、皮膚がむけるほどこすっても取れません。さらにつるぎの左手は、勝手に窓のロックを外し窓を開けはじめます。左手の行動はすべてつるぎの意思ではありません。
「オージローだ!!」
左手に持ったスマホで自分の顔面を殴りつけるつるぎ。驚愕する常敏。
さらに左手からつるぎの身体が持ち上がり、窓に叩き付けられます。割れる窓ガラス。ガラスの破片がそのままゆっくりとつるぎの皮膚に突き刺さります。
つるぎの左手を見ていると、往年のホラー映画「死霊のはらわた2」を思い出します。荒木先生もホラー好きだからきっと見てるはず。
※ホラーですからグロ注意!グロ注意!
ガラスにめり込むつるぎの身体を必死で引き離そうとする常敏。その常敏の両手をオージローが『チョン』と触ります。
「お前の家…「終わり」だよ」
「すでに終わりの始まりだァ」
常敏の両手にもあっさりと刻印が。
初回の定助とのバトルでは傷をつけないと刻めなかった刻印も、本体なら直に『チョン』で完了です。
オゾン・ベイビー戦でもグレイトフル・デッド戦でもあった「直は強い」ってやつですね。
自分の意思とは無関係につるぎの首を締めにかかる常敏の両手。オージローは、常敏にある選択を迫ります。
「このまま自分の息子の首を「絞めきる」か?」
「もしくは「ガラスの破片」に押しつけてどこかを切断するか?」
さらに「お薦め」として、3つ目の選択肢を与えます。
「オレに全てを「与えろ」 …もう権利とか何もかも諦めてな…」
戸棚の中で栽培しているフルーツ、ロカカカの果実をよこせと常敏に迫ります。
挟まれる常敏とつるぎ
密輸と資金洗浄の証拠を抑えられ、さらにはファン・ファン・ファンの刻印を刻まれ両手で息子つるぎの首を締める常敏。状況はもはや決定的です。
観念した常敏は、ロカカカの果実があと「3日」で収穫できることをオージローに伝えます。
「3日とはな すぐじゃあないか!」
「オレってついてるのかッ!「持ってるよなぁ」…」
自分のタイミングの良さに喜ぶオージローは、最後に常敏へスタンドの姿を見せろと言います。
「どんなのか? 見ておくだけだよ…」
「おまえの「スタンド」にはオレは何もしない…」
「わかるだろう?」
ナンパ男の「何もしない」ぐらい信用できないセリフですが、常敏に選択肢はありません。オージローに自分のスタンド、スピード・キングを見せます。スタンドを観察するオージロー。
一緒に出していたつるぎのスタンド、ペーパー・ムーン・キングについては「見せなくていい」と、叩き落とすオージロー。頭に血が上りそうなポーズのつるぎが可哀そうです。
そして案の定、オージローは「気が変わった」と行動に移ります。
「やっぱり姿だけじゃあスタンド能力はわからないよなあ」
「あんたの強そうだ…」
最初のセリフには「だったら能力を聞けよ」とツッコミを入れたくなりますね。次のセリフにも「スピード・キングって強そうか?」と質問したくなります。
突然、常敏の両手がガラスの割れた窓の枠をつかみます。驚く常敏とつるぎの首を挟むように、一気に窓枠が閉める常敏の両手。その衝撃により、二人の首に突き刺さる割れたガラスの破片。
「ブチン」と音を立てて崩れ落ちるつるぎの身体。常敏も首からボドボドと血を流しながら、つるぎの上に倒れこみます。
「何もしない」と約束しながら殺す気マンマンだったオージロー。クズ野郎はアクロバティックな身のこなしで窓から東方家に入り込みます。
目当てのロカカカの鉢植えを奪い、つるぎの手から離れた自分のスマホも回収。
「元々…このフルーツは吉良…「ホリー」さんの為のフルーツだ」
「始めから東方家が持つべきものじゃあない」
ホリーに「さん」を付けて正論を吐くオージロー。たまに正気に戻るクズが一番タチ悪いです。
「これは死んだ吉良からのオレへのプレゼントだ…」
「やっぱりオレは「持っている男」だなあ」
倒れた常敏の胸ポケットに入っていた財布から万札を奪うオージロー。正論を吐いた2秒後にクズに戻るとは最高のキャラだな。
オージローはロカカカの鉢植えを持って窓から屋上へ上がると、東方邸を後にします。
1ページまるごと使って描かれる東方邸の屋上からの景観、ロカカカの鉢植えを持ったオージローの後ろ姿、その上にはシンメトリーに描かれたファン・ファン・ファン。
なんと美しい構図でしょう。このまま『第8部 完』となってもいいほどエンディング感が溢れています。もし本当に終わったら漫画史に刻まれるラストになるでしょう。負の遺産として。
持っているオージロー
場面は変わりタクシーの車内。オージローが「エアコン入れろ」だの「オレの顔チラ見した」だのと、タクシーの運転手にイチャモンをつけています。
「クソ見てんじゃあねェェ―――ッ ヴォケ!」
と、万札を運転手に投げつけてタクシーを降りるオージロー。でも1,070円の支払いに「釣りはいらねェ」と万札を投げるあたり、気前いいのかもしれません。だとしても自分が運転手なら御免ですが。
「なあーんか今日は暑いなあ」
タクシーに乗っているときから暑さを感じていたオージロー。しかも暑さは「熱さ」にまで変わりつつあるようです。あまりの熱さに胸を見ると、そこには一万円札の形クッキリに、ヤケドのような水ぶくれができています。
「なんだ!?」
「これは… あ…赤く…!?」
驚くオージローですが、水ぶくれは舌にも指にもグツグツと次々に発生。さらには舌から頬を伝って左の眼球にも達しています。熱さのあまり破裂する眼球。その水ぶくれには常敏のスピード・キングのヴィジョンが。
「熱」を操る常敏のスタンドが、一万円札に溜めた熱をオージローの体内に入れたのでしょう。悶えるオージローの身体の表面はすでに沸騰しています。ロカカカの鉢を手放し、うめき声を上げながらマコリンのマンションへ逃げ込むオージロー。
オージローが「持っている」のは、運ではなく熱だったようです。
弱っている相手の財布から金を抜き取ることがどれほど危険な行為か、ジョジョファンならご存じでしょう。吉良の財布に手を出したチンピラは指が吹っ飛んでました。
でも吉良の財布だったらオージローは義指が吹っ飛ぶだけで無事だったはず。スタンドの相性ってやっぱりあるんだな。
その頃、東方邸では常敏とつるぎがよろめきながらも起き上がります。多少のダメージはあるものの、二人から流血はほとんどありません。
「ありがとう つるぎ…」
「締めた窓わくの… ガラスの破片と流血は大げさな「幻覚」だったな」
触れた相手に幻覚を見せるつるぎのスタンド、ペーパー・ムーン・キング。つるぎの折り紙を叩き落としたときから、オージローはすでに術中にはまっていたようです。
この伏線には気づかれた人も多いのではないでしょうか。ページを戻ってみると、叩き落とされた次のコマでつるぎが「してやったり」な顔してます。
オゾン・ベイビー戦につづき、親子スタンドの共闘による勝利です。
それにしても、ジョジョの世界はチョーシに乗ってる奴は絶対負けますね。
「相手が勝ち誇ったとき そいつはすでに敗北している」
ジョセフの名言は今なお健在です。
持っているマコリン
ダメージはなくともロカカカの鉢を奪われたことに責任を感じるつるぎ。しかし、すでにオージローに熱を与えた常敏は焦ることなく、つるぎの責任などではないと話します。
そしてオージローは東方邸から数分の距離に鉢を置きっぱなしにしている、と断言し回収に向かいます。
実際の描写はありませんが、おそらく常敏は鉢に発信機を埋め込んでいるのでしょう。
「それより問題なのは…」
「なぜあんなクズみたいなヤツが突然…急に……?」
「湧いて出て来たのか……だ」
「危険なのはそっちだ」
常敏のセリフ、これから岩人間以外にもロカカカの果実を狙う者が現れるという予告でしょうか。また予想もつかないリバイバルキャラが登場するんでしょうか。
場面は変わりオージローの彼女、マコリンのマンション。娘と帰宅したマコリンは、部屋のどこかでオージローの携帯が鳴っていることに気づきます。
「いつまでお寝坊してるのォ?」
「オーちゃんもう夕方だよォ」
マコリンの口グセをマネしてオージローを呼ぶ娘。子供は無意識に親をマネるもの。
余談ですが、最近の「おままごと」では母親役の子は赤ちゃんを放ってスマホをいじる仕草をするんだとか。子供って怖いな。
ジャグジー横のリクライニングチェアに携帯を見つけたマコリン。電話に出ると、相手はオージローではなく見知らぬ男です。
「おや… 声が「女」だな それは…なかなか重要な事だ…」
「それでオージローがその携帯で送信した相手というのは「あんた」でいいな?」
不審がるマコリンに構うことなく、電話の男「東方常敏」は話します。
「熱」はいつも高い方から低い方へ流れること。常敏の「能力」は熱の温度を一ヶ所に溜めておけること。そして溜めた場所に触れたら、熱は再び流れ出すこと。
何の話かわからないマコリン、ですが電話の相手が東方の人間ではないかと疑います。その後の常敏の返答が、個人的に今回の一番ゾクゾクしました。
「ほう… オレの事が「誰か」は分かるけど今の話は理解できていない…」
「じゃあ君は「スタンド使い」じゃあないって事だな」
「良かった…」
「もしおまえが「スタンド使い」なら… お前の家族も只じゃあ済まなかった」
そう告げて電話を切ると、携帯からマコリンへ熱を流し込みます。顔半分を沸騰させられたマコリンは絶命し、足を滑らせてジャグジーへ転落。ジャグジーの中にはすでに始末されたオージローの死体も。
常敏は電話を切ると、オージローが置いて行ったロカカカの鉢を回収し、現場を去ります。
ラストのアオリは
そこに躊躇はない…
躊躇せず電話の相手を殺す常敏。名前を知られようがお構いなしで、気になるのは相手がスタンド使いかどうかだけ。はじめに自分の能力を話したのも、殺すこと前提だからでしょう。しかし、一般人のマコリンまで殺されるとは驚きです。
今回の常敏は、四部の吉良ぐらいの殺人鬼じゃあないでしょうか。いきなりしげちーに自己紹介を始めたり「話さないと両親も始末する」と言っていた吉良と、今回の常敏はソックリです。
スタンド能力も登場時から大幅にパワーアップしているみたい。スタンド紹介にあった「射程距離は10センチ程度」は、熱を持たせる範囲だったようです。携帯から熱を流し込めるなら、射程距離はほぼ無限です。
同じ熱系のマジシャンズ・レッドと比べて見劣りしていたスピード・キングでしたが、ここにきて「携帯ひとつで人を殺せる」という超優秀な暗殺向けスタンドとなりました。
だからってマコリンまで殺しちゃうのは、やっぱりやり過ぎだと思いますが。オージローも驚きの再登場から2話戦っただけで退場とは。2話って太陽と同レベルだもんな。
新ロカカカの果実収穫まで
あと3日と1時間と19分
ジョジョリオン88話のまとめ
88話をまとめると、ポイントは以下のとおり。
- 東方家の秘密を探ろうとしたオージロー死亡
- 東方家の秘密を探ろうとしたマコリン死亡
- ロカカカの果実収穫まであと3日
これから大活躍を期待していたオージロー&マコリンがまさかの即死亡。それに伴い密輸や資金洗浄のネタも消えて、話がふりだしに戻ってしまった気がします。正直、次回の展開がまったく予想できません。
常敏が危惧する「東方家の秘密」を探るリバイバルキャラが、今後も現れるのでしょうか。しかし2人と共に証拠は消えたし、ジョジョリオンの敵はほとんど死んでるの難しいでしょう。
でも一人だけ東方家の秘密を探れるキャラがいます。オージローが送信した資金洗浄のログデータを手に入れた康穂ちゃんです。影のラスボスとして東方家を破滅に追い込むのです。
明負院長の正体は、ペイズリー・パークがいろんな映写機から出力していた幻影です。最近公開の某映画みたいに「全部ホログラムでした」というオチです。映像に合わせて、色仕掛けで懐柔された常秀がナットを投げて攻撃していたのです。
あるいは莫大な遺産を相続したマコリンの娘が、バットマンのようなダークヒーローとなって東方家の前に現れるか。「だが 自分の肉親をジャグジーに捨てられてその事を無理矢理忘れて生活するなんて人生はまっぴらごめんだ」
実際のところ全然わかりません。5部アニメを一話から見直して来月を待とうと思います。
おまけ
ウルジャン目次の荒木先生のコメントは、
動画配信サービスに入った。おすすめの作品、何でこんなに僕の好みがわかるんだ?
あれって過去の注文や閲覧の履歴からユーザーのおすすめを探るんですよね。荒木先生へのおすすめ作品はゾンビものばっかりな気がします。もしくは、虫刺されで赤く膨れた皮膚のフェチものAVでしょう。
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