岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」のあらすじ・ネタバレ感想・考察

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」のあらすじ・ネタバレ感想・考察

 

ジャンプスクエア2008年1月号に掲載された『岸辺露伴は動かない』『エピソード#02 六壁坂』について、ジョジョ歴30年の管理人やまぴーがネタバレありであらすじと感想、考察を語らせていただきます。

※これまでのジョジョ全般のネタバレにも触れていますのでご注意ください。

『六壁坂』が収録されているコミックスはこちら↓

 

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『六壁坂』のあらすじと感想

はじめに『六壁坂』のあらすじについて、感想を入れながら紹介します。

岸辺露伴は家がない

舞台はカフェのオープンテラス。おそらくジョジョ第四部でおなじみの「カフェ・ドゥ・マゴ」でしょう。現れたのは入社一年目の漫画編集者、貝森稔(かいがもりみのる)23歳です。

待ち合わせの相手はすでに席でニコラ・ド・スタールの画集を鑑賞中。貝森がド・スタールをバンド名と勘違いすると、不機嫌そうに画家についての講釈をはじめます。もちろん、それはこのシリーズの主人公、岸辺露伴(きしべろはん)27歳です。

第四部から7年が経った設定でしょう。とはいえ、「岸辺露伴は動かない」は「ジョジョ」とパラレルワールドの関係のため、あまり関係ないかも。

 

漫画家のとこに「6分」も早く着くなんて
編集者として礼儀知らずってもんじゃあないのかッ?

ド・スタールを知らないことに加えて、待ち合わせ時間のマナーについても貝森にダメ出しをする露伴。のぞき屋やっている露伴が説教とは盗人猛々しいですね。

 

そこに露伴のサインを欲しがるファンとして、小林玉美(こばやしたまみ)と音石明(おといしあきら)が登場。玉美が初対面っぽいのは、平行世界がゆえでしょう。サインに名前も入れてほしいとお願いする音石に、メリカリしないピュアな心を感じます。

断ろうとする貝森より早く、コーヒーを飛ばすドリッピング画法で二人にサインを描く露伴。意外とファンサしてくれるタイプです。そういえば第四部のときもインク飛ばしてベタ塗ってましたね。家に来たファンにサインあげてたし。

 

打ち合わせの前に、露伴は貝森へ原稿料を前借りできないか尋ねます。実は『破産』してしまったことを打ち明ける露伴。「セーラームーン」のフィギュアも「レッド・ツェッペリン」の紙ジャケも「るろうに剣心」も売ってしまったと。

家も売ってしまい、今は康一くんの家に寝泊まりしてる状況の露伴。康一くんもお人好しですね。露伴なら居候の分際で料理にケチつけそうな気がします。桜玉吉みたいに、漫画喫茶で寝泊まりしながらマンガ描けばいいのに。

 

貝森は露伴の破産宣告を信じられない様子。なぜなら、露伴が以前に別荘地の山林を買ったことを知っていたからです。露伴は貝森へ破産の理由を話します。

妖怪伝説のマンガを描くために山を取材していたところ、その山にリゾート道路が通りそうだと知った露伴。開発を阻止するために周りの山を6つ買ったのはいいが、開発中止のため地価が暴落したのです。

 

妖怪を逃がさないために山を買い占めた。破産の経緯うんぬんより、理由にドン引きする貝森。変人から目をそらそうとする貝森の行動を、変人がゆえ瞬時に察知する露伴。破産はしたが山を買い占めた価値はあったと話します。

「六壁坂」の妖怪は今もいる
ヤツはまだ今もあそこにいるんだ!

あまりにブッ飛んだ話に、編集者貝森も次第に耳を傾けはじめます。

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釜房郡平は動かない

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」大郷楠宝子

大郷楠宝子(おおさとなおこ)は来春卒業予定の女子大生だが
9月の終わりにボーイフレンドを殺害した…

最初からクライマックスな告白とともに「六壁坂」本編がスタート。

300年続く味噌作りで成功した大郷家は、屋敷のある山全体を所有するほどの大金持ち。楠宝子はその一族のひとり娘、かつ箱入り娘です。すでに許嫁もいて、卒業と同時に結婚が決まっているお嬢様です。

「味噌作り」という言葉に、杜王町の名物「牛タン味噌漬け」を思い出します。余談ですが、2017年に仙台で行われたジョジョフェスでは、宮城にある名店『味の牛たん喜助』とコラボした『牛たんみそづけ』が発売されました。

 

屋敷内にあるゲストハウスには楠宝子の姿が。プレステに熱中する若い男の姿もあります。SBRのロゴが入ったパンツにホルマジオっぽい頭の若者は、庭師として雇われている釜房郡平(かまふさぐんぺい)です。

二人は内緒で付き合っている様子。許嫁がいるのに父親に内緒で庭師の男と浮気。箱入り娘と見せかけて、楠宝子はなかなかゲスい女みたいです。

 

楠宝子が窓の外を見ると、車から出てくる父親と許嫁の姿が見えます。二人の姿を見た楠宝子は、郡平に帰るよう言います。しかし、郡平は楠宝子が近ごろ冷たくなったと不満の様子です。

郡平の言葉には何も答えず、楠宝子は札束の入った封筒を渡します。すぐに意味を理解する郡平。楠宝子は別れ話を切り出しますが、関係を続けたい郡平はフザけた様子で楠宝子に抱きつきます。

 

カッとなり郡平の頬をビンタする楠宝子。郡平はとっさに楠宝子を殴り返してしまいます。殴った言い訳と、まだ愛しているをしゃべり続ける郡平。楠宝子は郡平を思い切り突き飛ばします。

帰ってよッ!
そのお金持ってッ!
帰ってってばッ!

ゲストハウスに近づいてくる父親と婚約者。郡平を帰したい楠宝子ですが、郡平の様子がおかしいことに気づきます。郡平の目は虚ろで生気がありません。郡平の後ろを見ると、立ててあるゴルフセットのクラブのひとつが、郡平の後頭部に突き刺さっていたのです。

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」釜房郡平

 

「ゴロンッ!」と音を立てて、釜房郡平の身体が床に倒れます。後頭部にはゴルフクラブでえぐられた傷口があり、傷口から流れた血が床に広がります。郡平の首筋を触り、脈を確かめる楠宝子。

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」釜房郡平

死んでる………
郡平……
脈が…ない………

 

これは何かの悪ふざけで、郡平はすぐに目を醒ますはずだ、と楠宝子は考えます。軽く押して小さな傷ができただけ。たしかに、似たような傷を負った第五部のギアッチョはピンピンしてました。

しかし、郡平は目を醒ましません。死んでいます。

 

突然、別の恐怖が楠宝子を襲います。誰もいない部屋で血を流す死体と血の付いたゴルフクラブ。しかも相手は親の目を盗んで浮気していた相手です。それはまるで楠宝子が…

ゴルフクラブで殴ったみたいじゃあないのッ!!

混乱する楠宝子は医者を呼ぼうとします。しかし、死んでいるのに医者を呼んで役に立つのか?

まさか電話して呼ぶのか警察のほう?

 

玄関の向こうからは父親と婚約者の修一(しゅういち)の声が聞こえます。

『隠さなくてはッ!!』
『ど…どこかに!!とりあえず郡平をッ!』

楠宝子は郡平の靴とカバンを隠し、血痕がつかないようワンピースを脱ぐと、死体を隠そうとします。しかし死体に異変が。脈がなく心臓が動いていないにも関わらず、後頭部の傷口からどんどん血が流れていくのです。

家の中にいる楠宝子の様子がおかしいことに感づいた父親が、合鍵で玄関を開けようとすしますが、楠宝子は着替え中だから入ってはいけないとウソをつきます。

 

楠宝子は救急箱から止血テープを出して郡平の後頭部に貼りますが、テープの端から血が噴き出してきます。出血により、肌も眼球も干からびていく郡平。死んでいることは間違いありません。しかし、もう後戻りはできません。

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」釜房郡平

 

証拠を消す行動をしてしまった…
警察が見たらあたしが犯人!

はじめはほんの小さな間違いだったのに、その間違いを隠すためにさらに間違いをする。そして気づけば小さな間違いでは済まない事態になっている。この展開、ホント怖いです。誰でも似たような経験があるのではないでしょうか。

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大郷楠宝子はあきらめない

父親から合鍵を預かり中に入ろうとする許嫁の修一に対して、絶対に入ってはいけないと言う楠宝子。しかし、ゲストハウスにもうひとりいるように見えた修一は、楠宝子の言葉を疑っている様子です。

『早く止めなくてはッ!』
『なんとしてもすぐにこの血を止めなくてはッ!!』

楠宝子は救急箱からを出すと、郡平の後頭部を縫いはじめます。しかし、そんな行為は無駄だと言わんばかりに、縫い口からはさらに激しく血が噴き出します。第三部でボコられたディオくらい噴き出してます。

 

血しぶきに悲鳴を上げる楠宝子。その声に驚いた修一は、合鍵を使って中に入ると言います。もはや猶予はありません。

楠宝子はコンロに火をつけてスプーンを熱すると、焼きゴテのように郡平の後頭部に押し付けます。しかし、スプーンで焼けた傷口は「ベコン」とへこむだけ。血が止まる気配はありません。

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」大郷楠宝子

 

もはや血を止めることは不可能。そう理解した楠宝子は、カーペットで郡平の死体をくるむと、カーペットごと死体を冷蔵庫の上に乗せます。「どこにそんな力が?」と思うかもしれませんが、火事場の馬鹿力というやつです。

 

修一が第七部の義弟のような瞳で楠宝子の前にやってきした。

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」修一

楠宝子は何食わぬ様子で冷蔵庫の拭き掃除をしている最中。ゲストハウスに楠宝子以外いないことがわかった修一は、安心して部屋から出ていきました。

 

しかし、楠宝子は修一から見えない死角で、郡平の後頭部に刺さったスプーンから滴り落ちる血を、自分で飲み続けていたのです。

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」大郷楠宝子

血が止まらないなら、出た血を飲み続ければいい。ジョースター卿とはまたちがう視点から解決法を見つけた楠宝子。その姿は、贖罪を続ける罪人のようでもあります。

 

その後、楠宝子と修一は予定通り結婚。楠宝子はふたりの子供をもうけました。その間も、釜房郡平の血は流れ続けました。楠宝子は寝室のクローゼットから通じる屋根裏に死体を隠し、毎日流れ続ける血をひそかに捨てることを日課としました。結婚後も一泊以上の旅行はしません。

ある日、郡平の身体に霧吹きで水を吹きかけると、一瞬だが生きていた頃と同じ肌ツヤに戻ることを楠宝子は発見します。天井裏で郡平の死体を見ていると、愛おしいとさえ思うようになるのです。

なんてカワイイ寝顔
郡平
あなたはあたしだけ…
いつまでもあたしだけが世話を焼かなきゃダメな人

 

これ、完全にヒモ男に惚れる女と同じ心境ですよね。いや、タバコ代を欲しがったり浮気しない分、ヒモよりマシですか。むしろ超従順なペットって感じですかね。血抜きもフンの始末だと思えば楽勝です。

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岸辺露伴は何かしない

楠宝子が隠蔽した釜房郡平の殺害を、露伴はどうやって知ったのか。その理由は簡単です。妖怪伝説の取材に訪れたときに、たまたま六壁坂で楠宝子に会い、記憶を読んだのです。とんでもない文春野郎です。

郡平の『正体』『目的』が知りたくなり、大郷家の前までやってきた露伴。本当にパパラッチみたいです。住所不定の。

ふと後ろから名前を呼ばれ、振り返るとそこにはひとりの少女がいます。名前を尋ねても少女は答えません。

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」釜房郡平と大郷楠宝子の娘

知らない大人とは口をきくなと言われている
近頃変質者多いから

昨今のニュース的に否定しづらい「漫画家=変質者」という言葉を残して走り去ろうとする少女。引き留めようと露伴が手を伸ばすと、少女はバランスを崩して転倒します。しかもゴツンと地面の石に頭をぶつけてしまいます。

驚いて露伴は少女に駆け寄りますが、少女はすでに死んでいます。誰もいない山道で死んだ少女と、遺体に触れている男。『住所不定の自称漫画家 幼女を殺害』など、マスコミが飛びつきそうな事件です。

『まるでぼくが…この子を……!!』
この場所で何かしたみたいじゃあないかッ!

 

しかも、少女の皮膚は急速に干からびていきます。この状況、まさしく大郷楠宝子の体験そのもの。

こいつはあの郡平の子供かッ!!
彼女!!
大郷楠宝子ッ!!屋根裏のッ!!
『死体になった』ヤツの子を妊娠して産んだのかッ!!

楠宝子の子供は、修一との子ではなく、死体となった釜房郡平との子だったのです。愛おしいとはいえ相手は死体。楠宝子は殺人のほかにも、人としての禁忌(タブー)を犯していたのです。

 

それにしても、露伴はこの事実を知るのが遅くないでしょうか。楠宝子の記憶を読んだときに書いてあると思うんですけど。康一くんの頃からですが、露伴は面白いネタをひとつ見つけたら、それ以上は読まないクセがあるっぽいです。

 

急いでヘブンズ・ドアーを発動する露伴。少女を「本」にしますが、命の消滅とともに本の文字も急速に消えていきます。露伴は文字が消滅する前に急いでページに「命令」を書き込みます。

岸辺露伴なんて知らない。
たとえ出会っても岸辺露伴を見ることさえない。

書き込んだ瞬間、パチリと目を醒ます少女。そして「ドシャアァアァーーーッ」と叫びながら、一瞬だけ人外の表情を露伴に見せます。そして少女の顔に戻ると、目の前の露伴を認識することなく、その場を立ち去っていきました。

人間の愛と心の弱点に取り憑き、身の回りの世話をさせながら、子孫を残すことを目的とした妖怪。生物にも似たこの妖怪の幸福の絶頂は『誰かの前で死ぬこと』です。露伴はこの妖怪を『六壁坂』と名付けました。

生態が気になるところですが、妖怪の「目的」がわかった露伴はそれ以上興味がない様子です。結局のところ、大郷楠宝子は取り憑かれたが、けっこう幸せに暮らしている。そう言うと、露伴はそっと大郷家の敷地から立ち去りました。

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『六壁坂』についての考察

ここでは六壁坂の物語を、「釜房郡平」「大郷楠宝子」「岸辺露伴」の主要キャラ3名の視点から考察していきます。

妖怪かまってちゃん『釜房郡平』

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」釜房郡平

タイトルにもなっているヒモ妖怪『六壁坂』こと釜房郡平。この物語の面白さは、郡平の生態に他なりません。

愛情や罪悪感で他人を操ること自体は珍しくありませんが、その手段として自らが死ぬ。しかも死んだあとに生殖して子孫を残す。妖怪と呼ぶには生物的、しかし生物と呼ぶにはあまりにクレイジーな存在です。

 

妖怪という存在は、人間の文化と共に進化します。これは恐怖する対象が時代と共に変化するためです。妖怪漫画でも『ゲゲゲの鬼太郎』『ダンダダン』に登場する妖怪を比べてみるとわかります。

時代が変わっても妖怪が人間に与える感情は一貫して「恐怖」です。人間の「恐怖」を糧に存在するものが「妖怪」である。これは古今東西の物語で共通です。

しかし、「六壁坂」では、妖怪が与える感情が「恐怖」から「罪悪感」「愛情」に進化しています。この物語は、妖怪という存在をハード面ではなくソフト面でアップデートさせたのです。

 

他人の心につけ込みながらも、妖怪(郡平)から「悪意」を感じないところも面白い。カッコウが他の巣に卵を産むように、産まれたヒナが他の卵を巣から落とすように、本能で行っているのでしょう。作中でも「無意識ではないか」と思われるシーンがいくつかあります。

たとえば、郡平の血を止められないと悟った楠宝子が、郡平を冷蔵庫の上に持ち上げるシーンがあります。「女ひとりで男の死体が持ち上がるか?」と思えますが、これは楠宝子が「郡平と離れない」ことを選択したため、郡平の身体が軽くなったのだとやまぴーは考えます。

郡平の流れる血は愛と束縛の象徴であり、楠宝子が郡平を拒絶するほど流れる血はとても本能的です。露伴に殺された少女が、取り憑けないと分かった途端に平然と命を吹き返すのも、生物としての本能を感じさせるシーンです。

妖怪でありながら生態はあまりにも生物的、しかも人間の「恐怖」以外の感情を糧とする現代社会にアップデートされた妖怪、それが「六壁坂」なのです。

 

余談ですが、「他人の罪悪感につけ込む」キャラといえば、第四部の小林玉美を思い出しませんか。

小林玉美

やまぴーは、小林玉美には六壁坂のDNAが混じっているんじゃないかと思います。人間と交配可能だし、伝説となるほど昔から生息している。可能性ありますよね?

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ゲスの極み乙女『大郷楠宝子』

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」大郷楠宝子

この物語を面白くする要素として欠かせないのが、主人公でもある大郷楠宝子の存在です。読者はこの楠宝子との「距離感」によって大きく感情を動かされます。

まずは「浮気女」として登場する楠宝子。当然ながら読者は楠宝子に共感を覚えません。現在は連載時の2008年より不倫に対する風当たりがさらに強いため、なおさらでしょう。

しかし、楠宝子は不慮の事故で相手を殺してしまいパニックに陥ります。そして(人間ならば誰しもがする)証拠の隠滅を図り、さらに窮地に陥っていくのです。

ほんの少しのグレーを消そうとして、気づけばどんどんグレーになっていく。誰もが似たような経験をしているはずです。楠宝子に対する共感が芽生えてきます。

ついには死体の血を飲み、その後も死体の世話を続けていくことを余儀なくされる楠宝子。犯した罪に対してあまりにも大きな代償に、読者は楠宝子に対して同情を覚えます。

しかし、最後に楠宝子が郡平の死体とまぐわい子供を産んでいたことが明かされ、読者の感情は裏切られるのです。嫌なヤツだと思っていたが実はいいヤツ…と思ったら本物の狂人だった。読者は楠宝子にどういう感情で接していいのか分からなくなります。

はじめは離れていた読者の心を少しずつ引き寄せて、最後に思いきり突き放す。読者はジェットコースターのような感情の高低差に襲われるハメに。荒木先生の展開の巧さに脱帽です。

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借りぐらしの『岸辺露伴』

岸辺露伴は動かない「エピソード#02 六壁坂」岸辺露伴

そして物語の狂言回し(ナレーター)である岸辺露伴。

「六壁坂」は、一作目の「懺悔室」に続く二作目のエピソードであり、「岸辺露伴は動かない」がシリーズものになった記念的作品でもあります。「懺悔室」だけで終わっていたら、ただの「ルール違反した読切」になるところでした。

「懺悔室」と「六壁坂」によって、表題どおり「露伴は主役ではなく狂言回し」であることや、「露伴以外のスタンドは登場しない」こと、「第四部とはパラレルワールドである」といった世界観が構築されたと思います。

とはいえ、その後のエピソードでは露伴がランニング勝負したり、グッチのスタンドが出てきたりしてるんですが。

 

「六壁坂」ではセーラームーンのフィギュア所持をカミングアウトすることにより、そっち方面のファン獲得にも成功してますね。でもセーラームーンをどうやって「ピンクダークの少年」に活かすんでしょうか。「お仕置きの時間だよベイビー」とかですか。

 

しかし、やまぴーは露伴の行動で理解できないことひとつあります。それは「破産するほど山を買う必要ある?」ってところです。だって郡平の死体って大郷家にあるんでしょ。しかも屋敷のある山の所有者も大郷家だし。

もしリゾート開発のために引っ越しすることになっても、楠宝子がうまく郡平を運んでくれるはずです。大きめの段ボールに入れて「天地無用」と「割れ物注意」のシールを貼るだけ。もちろん荷物の置き場所は「屋根裏」です。

ひょっとして妖怪の生態も知らずに山を買い占めちゃったとかでしょうか。だったらあんなドヤ顔して「妖怪はいた」とか言わないほうがいいですよ。話を聞いたあとの貝森に「でも先生、山を買う必要ありましたか?」とか言われるのがオチです。

きっと妖怪とは関係なしに、『魔老紳士ビーティー』に出てくるアウトロー・ガイズみたいない悪徳不動産屋に騙されたんですよ。それを苦しまぎれに妖怪伝説のせいにしてるだけでしょう。

 

おそらく、この話のあとで編集部に帰った貝森が「露伴はマジ無理だわ」とか言い出して、「じゃあアタシが」と漫画に興味のない泉鏡花が担当を引き継いだんだと思います。

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『六壁坂』のあらすじと感想、考察まとめ

『六壁坂』のあらすじをまとめると、ポイントは以下のとおり。

  • 大郷楠宝子は浮気関係にあった釜房郡平を不慮の事故で殺してしまう。
  • 楠宝子は郡平の死体を隠そうとするが、出血が止まらず窮地に陥る。
  • 死体の出血が止まらないため、楠宝子は死体の世話を続けることになる。
  • その後、楠宝子は死体となった郡平と交わり子供をもうける。
  • 岸辺露伴は郡平の子供に襲われるが、スタンド能力で撃退する。
  • 露伴は郡平を妖怪「六壁坂」と名付ける。

さらに、やまぴーが考える『六壁坂』のキャラの面白さは以下の三点。

  • ブッ飛びすぎてる釜房郡平の生態
  • 本物の狂人だった大郷楠宝子
  • 破産したのにドヤっている岸辺露伴

「岸辺露伴は動かない」がシリーズ化される記念となった『六壁坂』は、ジョジョとはまた違ったストーリーが楽しめる傑作です。未読の人はぜひ、すでに読んだ人も再度読み返してみてはいかがでしょうか。

 

『六壁坂』が収録されているコミックスはこちら↓

 

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