kotoba39 2020年春号『悪の研究』荒木飛呂彦先生インタビュー

kotoba39 2020年春号『悪の研究』荒木飛呂彦先生インタビュー

 

集英社より発行されている言論誌『kotoba』の2020年春号(No.39)「悪の研究」に掲載された荒木飛呂彦先生のインタビューを紹介します。

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kotobaとは

kotobaは「多様性を考える言論誌」として2010年9月に集英社から創刊。季刊誌として年四回発行されています。

特集テーマが毎回バラエティに富んでいるのが特長で、これまで「宇宙」「死」「美術」「南方熊楠」「ブレードランナー」「孤独」「シャーロック・ホームズ」「スティーヴン・キング」などが特集として取り上げられています。

 

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kotoba2020年春号の特集について

kotoba2020年春号の特集は『悪の研究』です。

悪のカリスマ「DIO」(『ジョジョの奇妙な冒険』)やアカデミー主演男優賞を受賞した『ジョーカー』――
悪党、悪女、悪役の本質にある「悪」がもつ、毒、攻撃性、不道徳性、反体制の精神には、物事の本質をあらわにし、真実をあぶり出す力があるのだろうか。
悪の魅力と恐ろしさを考え、論じ尽くす。
<集英社公式サイトより>

 

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kotoba2020年春号の荒木先生インタビュー

荒木先生のインタビューのタイトルは『至高の悪としてのDIOの存在』

『ジョジョの奇妙な冒険』で根強い人気を誇る、シリーズ初期の悪役DIO(ディオ)。
傍若無人かつ悪逆非道でありながら、なぜか読者を虜にしてしまうDIOの魅力について、荒木先生みずからが検証されます。

以下、個人的に気になった箇所をピックアップします。

 

ストーリーではなく、キャラクター先行で作り上げた作品が『ジョジョの奇妙な冒険』です。(中略)このDIOという並外れた悪役がいたからこそ、ジョナサンというキャラクターの存在が引き立ってくる。「DIO抜きでストーリーを作れ」と言われても難しかったでしょう。

 

漫画における伝統的なストーリー作りにはセオリーがあって、まず強い敵役、魅力的な敵役を作るということがあります。それに対して主人公を構築していく。

 

彼(DIO)の世界には「俺」と「俺以外」しか存在しない。世界を征服したいわけではなく、自分の行動圏内で家族とか恋人とか仲間とか、そういう社会的な幸福感を否定して、「俺」の存在を実感できれば欲求が満たされるんです。

 

DIOは決して、「面倒くさいからもう破壊活動やめたいな」というふうには考えない(笑)。「この道が正しいんだ」という確固たる信念を持っている。

 

「何が一番怖いんだろう」と考えたときに、(中略)身に覚えのない、先祖の呪いみたいなものが襲ってくるというのは、奥深くてとくに恐ろしいなと気づきました。

 

もしDIOが主人公を倒していたらどうなっていたのかとか、すごく興味があります。DIOが勝利していれば、意外にもいま僕たちが暮らす現実世界より良い世の中になっていたのではないかとすら想像します。

 

実は、理性のかけらもない「悪」にも魅力を感じることがあります。「こいつ、一体どうしたいんだろう」「救いようがないな」と思わせる、何も考えていないキャラクター。悪の中でも「クズ」に分類されるものですね。

 

漫画家としては、謎やロマンが善で、それが解き明かされてなくなってしまうことが悪だとさえ言えるでしょう。

 

善と悪はコインの裏表のようなもので、それはまさに『ジョジョ』の主人公とDIOの関係にほかなりません。

 

悪のカリスマとしてのDIOの魅力、また悪の根源である恐怖について、荒木節が炸裂したインタビューでした。

DIOのキャラクター性をジョーカーと対比させたり、恐怖の参考として『フロスト×ニクソン』や『ヘレディタリー/継承』という映画を紹介されていたのも興味深かったです。こういうところで紹介される作品はチェックしたくなります。

どうでもいいですが、記事ではなぜか「ディオ」ではなく「DIO」と書かれていたことが、個人的にすごい気になりました。還暦を迎えた荒木先生に、何か心境の変化があったのでしょうか。

興味のある方は、ぜひ全文を読んでみてください。

 

 

 

 

『エクソシスト』

 

 

 

 

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kotoba2020年春号目次

特集 悪の研究

Ⅰ  悪を創り出す
荒木飛呂彦 至高の悪としてのDIOの存在
フレデリック・フォーサイス 「ジャッカル」の生みの親が語る悪
真山 仁 現代社会の光と影――見えないものを見るために
阿部和重 魅力的な悪役ほど悪ではない

Ⅱ 悪を読み解く
石戸 諭 私たちの隣にいる「ジョーカー」
河合祥一郎 シェイクスピア作品No.1の悪党は誰か?
島田雅彦×野崎 歓 文学的に読む悪という存在
中条省平 悪魔の影の下に――サドにおける悪
上岡伸雄 死神に魅入られし人々の運命
佐藤忠男 今村昌平が描いた生粋の悪
仲俣暁生 悪の遍在について――宮部みゆきが戦ったもの
長谷川町蔵 アメコミ映画が描いてきた「悪」
小松 宰 時代劇に見る“悪”のかたち――『東海道四谷怪談』と『大菩薩峠』

Ⅲ 悪を学ぶ、悪に学ぶ
山口二郎 政治における「凡庸な悪」
津上英輔 悪の美学
神島裕子 ニーチェの思想から悪人について考える
江戸生まれの善玉・悪玉――山東京伝『心学早染草』の世界

(一部省略)

 

 

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