ウルトラジャンプ2023年3月号に掲載されたジョジョランズ第1話『仕組み(システム)』のあらすじと感想を、ジョジョ歴30年以上の管理人やまぴーがネタバレありで語らせていただきます。
※これまでのジョジョ全般のネタバレにも触れていますのでご注意ください。
ジョジョランズ第1話のあらすじと感想
ジョジョとディオのマリアージュ
ジョジョリオン最終回の2021年9月号から一年半、再びウルジャンにジョジョが戻ってきました。こんなに長くジョジョのおあずけ期間を食らったのは人生初ですよ。あ、みんなそうか。
まずはウルジャン表紙から。ウルジャンって雑誌名を背景色と同化させてまで漫画キャラを立ててくれるから嬉しいね。ここまで雑誌名消してるのはウルジャンくらいでしょう。
第9部ジョジョのルックス。前髪を下ろして目を隠すなんて、まるで90年代のエロゲーの主人公みたいな髪型じゃないですか。没個性の象徴である「前髪隠し」を、国民総フォトジェニックな令和の時代にやってのける荒木先生の感性。細眉や脱マッチョに通じる先見性を感じます。
エロゲ前髪のインパクトで見落としそうですが、頭頂部にはカリメロ模様までついてます。露伴、アバッキオ、FF、スティールと続いたものの、第8部で消えてしまった「カリメロヘア」の血統が、第9部で復活しました。
第8部でお気に入りになったと思われるグレーベースに、ビビットカラーを加えた配色がなんとも映えます。書店でもだいぶ際立ってました。
そしてジョジョ第9部の1ページ目はスタンドたちの集合写真。基本的に主人公とラスボスなど主要キャラのスタンド中心ながら、なぜかブラックサバスとデビルの姿が。しかもデビルは人形じゃなくてマジのヴィジョンのほうじゃん。こんなの誰も覚えてないって。
余談ですが、デーボというともはやジョジョよりラブやんのほうが先に浮かんでしまいます。
「露伴」と聞くと幸田露伴より岸辺露伴が浮かぶのと似てますね。
ヴィジョンとともに、スタンドの説明も添えられています。
姿・形はあるが目には見えない力(パワー)
名付けて『スタンド』
それは いつでも どこの場所でも存在しているが
見ようとしない人が見ないだけである
――どこかの漫画家――
これまでの「守護霊」や「立ち向かうもの」とは若干ちがった視点からのスタンド説明。なんとなく自己啓発やスピリチュアル臭がしますが、その理由は第一話を読んでいくとわかります。
それにしても「スタンド」と「念」と「悪魔の実」は、一般人にも説明不要な言葉になった気がします。令和に生まれた子供たちは将来、会社の上司と話を合わせるために、これらの漫画をチェックしなきゃいけないワケです。
ページをめくると、前髪ジョジョのアップとナレーション。
これはひとりの少年が亜熱帯の島々で大富豪になっていく物語――
この『ジョディオ・ジョースター』が……
えっ? ジョ……ディオ?
ジョジョ+ディオ=ジョディオ?
ジョジョとディオの対立で幕を開けたジョジョの世界が、第9部でついに集束(終息?)を迎えるってことでしょうか。「ジョディオ」が衝撃すぎて頭の整理ができません。
アオリは
「ジョジョ」第9部 新たな冒険の舞台は
太平洋に浮かぶ火山の島――”ハワイ”
活火山が噴火する島を背景に大海に浮かぶヨット。ページをめくって現れたアオリは、
オアフ島より。
どうやら第9部の舞台はハワイみたいですね。ジョジョ信者にとって、仙台とイタリアに続く新たな聖地巡礼の場所になりそうな予感です。
ふたつの意味でツイてるぜ!
物語はパトカーがトラックを停車させるシーンからスタート。ダモカンをスリムにしたような警官が小型トラックに近づくと、運転席には日焼けしたビキニ女性の姿と、助手席には前髪ジョジョことジョディオがロコモコ丼を食ってます。
免許証を提示して終わりのはずが、なぜか車から出て身体検査をさせられることに。明らかに怪しいダモカン警官です。顔の距離が近いため女性が「近づかないで」と言うと「わたしの皮膚の色が理由ですか」と切り替えしてきます。
社会的弱者という無敵の鎧をまとったポリコレ糞警官のひと言。こういう表現が出てくる荒木漫画が大好きです。
車外に出たビキニ女性に後ろからドギースタイルで密着する警官。豆銑礼のスタンドじゃなくて体位のほうです。分からない人は第3部のジョセフとアヴドゥルを思い出してください。
「女は男より隠せる場所が多い」と、万引きAVみたいなことを言いだす警官。しかしビキニパンツに手を入れた瞬間、未知なる衝撃が警官を襲います。
おまえ… …そうなのか?
ヤバイぜェ~~
さっ 更に興奮…して…… ……来た
男と分かってゲンナリどころか、むしろふたつの意味で「ツイてる」と感じる警官。ちょっと前に読んだ『双生遊戯』を思い出します。
兄のムスコの窮地を察してジョディオも車外へ。ダモカンに「殺すからな」と、プロシュート兄貴に怒られそうなセリフを口にします。パトカーからもう一人警官が出て来て「跪けェ――ッ」とジョディオを銃で威嚇。
弟はッ!未成年!!銃なんかを向けないでッ!
シグルイ風に言えば「加減しろ莫迦!前髪だぞ」と警官に叫ぶお兄ちゃんですが、前髪ジョジョもヤル気マンマン。アニメ版ならキャラの配色が変わってお仕置きタイムに突入するテンションです。
突然、ポツポツと振ってきた水滴により全身を凹まされ、相棒警官が地面に倒れます。ジョディオの頭上にはなんとスタンドヴィジョンが。ファンx3の胴体部分がD4Cになったような、主人公のスタンドとは思えないデザインです。
デカさだけは4メートル近くありますが手足はナシ。これじゃあ肉弾戦できません。っていうかスタンド登場するの早ッッ!
相棒が倒れた理由がわからないダモハラ警官は、パニクってジョディオに銃を向けます。そのとき、横にいたお兄ちゃんが警官の顔を「スウゥ」とひと撫で。すると警官の目玉が顔の横に大きくズレます。発砲するもジョディオには当たりません。
えっコッチもスタンド? 展開早ッッ!
ダモハラ警官も水滴で相棒と同じく地面にダウン。そこにジョディオが雄叫びを上げながらジャンピング&ストンピング攻撃です。知的でクールな奇数部のジョジョとは思えないキレっぷり。
ヤバい事態にうろたえるお兄ちゃんを尻目に、ジョディオは「もっとでっかくしてやるぜェ」とパトカーを爆破。車載カメラのデータも消えて証拠隠滅完了と言います。燃えるパトカーを眺めて「ま、いっか!」と気持ちを切り替えるお兄ちゃん。
お兄ちゃんは、念のためトラックのナンバープレートを替えて、偽造免許証も始末します。って結局トラック盗品だったんかい。
というツッコミより、お兄ちゃんが出した群生タイプの小型スタンドが気になります。シャクレ顔面にモンハンシャコみたいな眼、下半身はガンタンク、しかもミスタを挑発するかのように4体です。
第一話の序盤でスタンドが2体。マジ展開早いです。
二人の運転する小型トラック向かった先は廃車場。荷台に積んだサーフボードの中には大量の麻薬が隠されていて、兄弟は運び屋の報酬として札束の入ったセカンドバッグを受け取ります。
ギャングスターでさえご法度にしていた麻薬を運ぶジョディオ兄弟。第9部のジョジョは歴代ジョジョとは一線を画す存在っぽいね。
ジョディオは大富豪になる男だ!
ジョディオ兄弟は正真正銘のゴロツキ。しかし、兄弟の裏稼業のおかげで、ふたりの母である『バーバラ・アン・ジョースター』は日々を安全に暮らせているのです。
バーバラ・アンは文くんことジョセフ・ジョースターの娘で、吉良ホリーとは姉妹関係です。第9部の血統は第8部から繋がっていることがわかりました。「でも東方家の家系図には載ってなかったぞ」とか野暮を言うのは止めましょう。
ちなみに、ジョディオの父は名前の表記もなく、すでに別離している模様。「母親は聖人、父親は悪党か空気」というジョジョ世界の伝統は、第9部でも健在のようです。
ジョディオの兄の名は『ドラゴナ・ジョースター』18歳。座右の銘は「決して無理はしないけれど あきらめる事もしない」朝ランしてスイカを食べることを日課にしている男の娘です。
主人公の『ジョディオ・ジョースター』15歳は、バスで学校に通う高校生。3~5部でおなじみだった現実感ゼロのモテ描写はありません。代わりにブラックモアと豆銑礼を足して割ったみたいな先輩から「ヤクを売ってくれ」と紙幣を渡されます。
てめェッ!!
フザけてんのかッ!
オラアアッ
いきなり相手にキレ出すジョディオ。やはり奇数部ジョジョとは思えません。しかし、バスから降りると先輩からお金を受け取り、銅像のほうへ進むように指示します。理解不能なまま歩きだす先輩のそばに、電動キックボードの男が近づき「薬」の場所を説明。先輩は無事、ヤクを手にすることに成功します。
ヤクの売買において、現金の受け取りから場所の指示まで、証拠は一切残さないという徹底ぶり。やはり知的な奇数部ジョジョです。自分からキレといて「情熱が薄い」とか言い出すのはウザいですが。
ちなみに、マッキンリー大統領は1898年にハワイを併合して1901年に暗殺された第25代アメリカ合衆国大統領です。ヴァレンタインは第23代です。
麻薬の代金をノートに挟み、校長先生と呼ばれる人物へすれ違いざまに渡すジョディオ。校長が元締めとはトンデモ学園です。
ジョディオが学校に行くのは「仕組み(メカニズム)」のためだといいます。校長がアレな学校なら、ジョディオにとって得るものは多そう。少なくとも、学校行かずに麦わら帽子かぶって配信してるよりマシでしょう。
ジョディオは11歳からパシリとして運び屋をやっていました。その仕事で得た「信用」によって、一家は安全に暮らせているのです。信用の「仕組み」には力があるとジョディオは言います。
真面目な学生でも「仕組み」に入っていなければイジメを受けて消えていく。「仕組み」は普遍的で、奪われたり崩れたりもしない。富が流れ込んでくるこの世の「理」
『これは亜熱帯の島々でひとりの少年が大富豪になっていく物語』
ジョディオは「仕組み」の頂点を手にすると誓います。
このジョディオの演説、ビジネス本や自己啓発本かぶれのポジティブアピールピープルみたいで鼻につきますね。「秒速で稼ぐ」とか言い始めないか心配です。
3(スリー)プラス1(ワン)
ページをめくると仕事仲間が登場。『パコ・ラブランテス』19歳。2年前は太っちょでしたが、今はライザップしてシックスパックの肉体に。先ほど登場した電動キックボードの男でもあります。父親のDVで左耳が噛みちぎれてます。
パコの筋肉は特殊で、盛り上がりでモノをつかむことが可能。その筋肉を活かして、ドラゴナが働くブティック「アイコアイコ」で客の財布をスッたりしてます。が、秒でドラゴナにバレて、お仕置きに耳のばしされたりしてます。
「裏通りにジムがあるぜ」とドラゴナにファイトクラブを仕掛けますが、秒で断られたりもしてます。
突如、店内に大女が入店すると、いきなり店の札を「閉店」にして奥の部屋へ進んでいきます。彼女の名は『メリル・メイ・チー』49歳。ブティックの経営者であり出資者であり、さらにはジョディオの通う学校の校長先生でもあります。
ドス黒さ満点のメイおばさん。第9部におけるポルポ的存在でしょうか。ブティックはダモカンクリーニングみたいなものですね。っていうか、ボスの店でスリやってるパコもイカレてます。
証拠を残さないようにジョディオたちに携帯をOFFさせると、メイおばさんは仕事の依頼をはじめます。ターゲットは24カラットの天然ダイヤモンド、色はブルー、形はラウンドブリリアントカット、お値段なんと600万ドル。
このダイヤを持った日本人の別荘で、空き巣をするのがジョディオたちの仕事です。一生露伴風にいえば「居空き」とか「忍び込み」かもしれません。
行ってくれますか?
それともやめますか?
ミリオネアのように問いかけるメリルもんた。成功させればジョディオたちの取り分は12万ドル、ひとり4万の報酬です。すでにパコとドラゴナはやる気マンマン。しかし、そんなチームにメリル・メイはある条件を出します。
チームは「4人」で行きなさい
ドアを開けて「ちイィィィィ~~~す」とスパムサンドを食いながら入ってきたのは、なんとジョディオにヤクを求めてきた先輩です。「チームを作ると必ず変なのがひとり入ってくる」と、深い名言をいうジョディオ。
どう見ても足手まといな先輩を見て、3人で十分だとパコは言いますが、ボスの言葉は絶対です。アブドゥルの「4つにしてくれ」並のムチャを通すメイおばさん。
しかし、能力はわかりませんが、閉店しているブティックの店内に入り、かつ秘密の会議中に入って来れるほどメリル・メイが一目置いてるならば、何かやってくれそうな気はします。
こうして「バカンスにやって来た金持ちの別荘からただの空き巣をやって帰ってくるだけの簡単なお仕事」がスタート。しかし、どうやら簡単には済まなかったようです。
マジ3人じゃあ『足りなかった』んだ…
いや………
たとえ どんな人数だろうとも
最終ページは見開きでチーム仲間のスタンド紹介。
ジョディオ・ジョースターの『11月の雨(ノーベンバー・レイン)』
ドラゴナ・ジョースターの『スムース・オペレイターズ』
パコ・ラブランテスの『THEハッスル』
えっ!? パコの筋肉ってスタンドだったの?
筋トレした筋肉がスタンド化なんて橋本陽馬みたいじゃん!
スタンド名の隣には、各キャラのアイコンらしきマークもあります。パコのアイスが素敵です。
アオリは
作戦開始(ミッションスタート)!!
第一話からスタンドもキャラも盛りだくさんで、期待しかありません。
ジョジョランズ第1話のまとめと考察
今回はまとめと別に、考察を「スタンド」「テーマ」「世界観」「ストーリー」の4つに分けて掘り下げていきます。
ジョジョランズ第1話のまとめ
ジョジョランズ第1話をまとめると、ポイントは以下のとおり。
- 第九部はハワイを舞台にジョディオが億万長者になる物語である
- ジョディオは兄のドラゴナにセクハラをしたクズ警官たちを半殺しにする
- ジョディオは兄弟で裏稼業を行い生計を立て、信用を得ている
- ジョディオは「仕組み」の頂点に立つことを目指している
- ジョディオ、兄のドラゴナ、仕事仲間のパコはスタンド使いである
- ボスのメイ・チーから依頼で600万ドルのダイヤを盗む依頼を受ける
- ひとりを加えた4人でミッションを行うことになった
第一話からいきなりスタンドが3体も出てきてビックリしましたよ。展開が早いです。まるで10週打ち切り喰らわないように必死こいて風呂敷広げてる新人みたいです。だがそこがいい。
大御所の漫画になるほど展開がスローになって、ぶっちゃけ退屈になるもんですけど、荒木先生はそれがないのがイイですね。初回はてっきり何か不思議なことが起こって「これは……スタンド能力?」ぐらいで次回へ続くと思ってたので嬉しいです。
余談ですが、某テレビ番組でレジェンド漫画家が「展開を早くしないと読者はすぐに飽きる」と漫画家志望の芸人兄弟にアドバイスしてましたが、やまぴーは「でも先生の屋敷攻略漫画も序盤はめっちゃトロい展開でしたよ? 『ケトル』読むとキング意識されてたみたいですけど、そもそもキングの小説なんて誰も読んでませんから。映像化されてやっと注目されるだけですよ」と思ったものです。閑話休題。
主人公のジョディオが説明役を兼任してるのが新鮮でした。思い出してみると、これまでのジョジョには康一くんとかポコとかエルメェスとかナレーション代わりのキャラがいたものです。
その他、大まかな考察は後の項目で取り上げますが、モラル的にもゲスに墜ちた主人公が今後どうなるか非常に気になります。あとはジョディオの前髪がどう変わっていくか。
日本人の別荘に「ダイヤ」を盗みに行くようですが、そういえば第8部にそんな貴金属の名前のキャラいたよなぁ~って思ってしまいます。8部と9部で夢の「男の娘」対決が実現です。
と見せかけて、予想の斜め上で静・ジョースターだったらどうしましょう。アクトン・ベイビーのおかげで、いくら探してもダイヤが見つからなかったりするわけです。その後やっぱりドラゴナが「おちんちん消して!」とか言い出すワケです。
あるいはマジ路線として、作戦自体が実はニセモノで4人目に加わったブラックモア先輩が3人を始末するのが真の目的だったとか。いや、そうすると「3人じゃ足りない」の理由がないですね。
一年半ぶりに、来月が待ち遠しい一ヶ月を過ごせそうです。
ジョジョランズのスタンドについての考察
まずは「スタンド」についての考察です。本来の漫画術なら「キャラクター」ですが、みんなもスタンドのほうが興味あるよね。
最初はジョディオ・ジョースターの『11月の雨(ノーベンバー・レイン)』
元ネタの洋楽はGuns N’ Rosesの『November Rain』
4メートル近くありそうなビッグサイズながら、胴体(しかも胸部まで)のみ。手足の代わりにオージローのファン・ファン・ファンのような細い触手。そして胸部から下は水滴を打ちための、ホイップクリーム出すような注ぎ口。顔はボコられた後のD4Cみたいみたいです。
主人公のスタンドながら、肉弾戦は絶対ムリなデザインです。ジョニィのタスクよりひどい。よくもまあ、ここまで振り切ったデザインをしたもんです。
第一話では、水滴のようなもの出して相手を凹ませる能力が確認できます。エコーズACT3の能力に似てますね。でも本体と楽しい会話は無理っぽい。
現時点では、主人公のスタンドとしてはあまりにも汎用性がないのでは?と不安になってきます。しかしやまぴーはスタンド名を見て、あることに気づいたのです。
そう、ジョディオは『各月ごとに能力を持っている』のです。きっと次回以降で「これは12の能力のひとつにすぎない!」とか言って別の能力を見せてくれるはずです。
例を挙げると、多くの女性が憧れる『6月の花嫁(ジューン・ブライド)』の能力があります。また、砂を自在にあやつる『4月の愚者(エイプリル・フール)』という能力もあります。さらには、将棋が強くなる『3月のライオン(マーチ・ライオン)』や、絶対合格を約束する『二月の勝者(フェブラリー・ウイナー)』も登場するでしょう。
次はドラゴナ・ジョースターの『スムース・オペレイターズ』
元ネタの洋楽はSADEの『Smooth Opreator』です。
セックス・ピストルズを彷彿させる小型群生タイプながら、まさかの4匹。しゃくれロボ顔にシャコの眼、下半身はキャタピラというカッコよくも可愛くもないルックスです。
現在判明している能力は、モノの位置をズラすこと。ナンバープレートに印刷された文字はもちろん、他人の顔の眼球の位置をズラすことも可能です。また、パコの耳のように引っ張って伸ばすこともできるようです。
さらには、免許証の偽造のように違うモノをズラし合わせることも可能。しかも本職の警官が見てもバレない精度です。
ズラす、引っ張る、繋ぎ合わせる、と戦闘向きではないですが、汎用性の高そうなスタンドです。
最後はパコ・ラブランテスの『THEハッスル』
元ネタの洋楽はVan McCoyの『The Hustle』です。
ドゥザハッソッ!
スタンドはなんと筋肉そのもの。まるで橋本陽馬です。とはいえ「肉体そのものがスタンド」という例は、すでにオインゴのクヌム神からあったりします。
あるいは、ホワイトアルバムみたいに筋肉の装甲を着込んでるのかもしれません。本体はいまだにメタボなお腹かも。
能力は、筋肉でモノがつかめること。関節がない箇所でも筋肉の細かい隆起でサイフや腕時計をめり込ませることができます。
だいぶショボそうな能力ですが「筋肉でモノを付着させる」ということは、スパーダ―マンみたいに天井に張り付くことも可能でしょう。筋肉を変化させて変装などもできそうです。
戦闘向きではないものの、裏稼業には役立ちそうなスタンドです。
あとは4人目の先輩もスタンド使いかもしれません。能力はもちろんパーティーに一人は必要な回復係です。再登場のときに食べてたサンドイッチがスタンドで、パール・ジャムみたいに食べたらどんなダメージも治るんです。スタンド名は「ミートローフ」とかでしょう。
メリル・メイは個人的にはスタンド使いじゃないほうを希望です。その代わりに巨体から繰り出す打撃がすごいとか。「クライングフリーマン」のペー・ヤーサンみたいに「あたイは10発ぐらいの弾丸では死なないよ!!」とか言ってほしいです。
現在登場してるスタンド3体どれもが「金儲けに直結しない能力」なのがいいですね。ペイズリー・パークとかミラグロマンあれば一発で億万長者になれちゃいますから。
余談ですが、どこかのネット記事でいまだに「お金儲けにも使えるハーヴェスト」とか書かれてましたが、このキャッシュレス時代にしげちーが活躍できる場所なんてねえだろうが! 老害ライターはドタマのアップデートしやがれ! って思ったものです。
3人のスタンド能力も、連載が続くとさらに詳細が分かってくるでしょう。あと能力も追加されるはずです。これまでもミジンコに回復能力が付いたり、定助のしゃぼん玉が爆発したりしてますから。でもアナスイみたいな「何でもアリ」は止めてほしいかな。
ジョジョランズのテーマについての考察
第9部のテーマを考察するうえで外せないのが主人公の名前です。
『ジョジョ+ディオ=ジョディオ』
第1部で分かれた光と影が、第9部でひとつとなるのです。これはジョジョの世界が集束、もしくは終息することの示唆と思われます。
このブログを読むレベルのジョジョ信者ならお気づきでしょうが、ジョジョは3部ごとに物語に大きな区切りがついています。1~3部が50年周期(連載当初の設定)、1~6部が世界一巡、といった具合です。
第9部のジョジョランズでも、これまでのジョジョを総括するテーマが描かれるでしょう。
第9部単体を見ても、主人公にディオ、つまり悪の要素が加わったことで特殊な設定になっています。これまで歴代のジョジョは、環境や社会的立場が「悪」でも、本人の資質は「善」でした。
しかしながら、ジョディオには善の心がありません。心もゲスです。ジョディオが平然と麻薬を扱う姿は、第5部のジョルノと対照的です。幼少期にギャングに救われたジョルノと、パシリ屋で信用を得たジョディオ。荒木先生は「幼少期に救われなかったジョルノ=ジョディオ」を描こうとしているのかもしれません。
となると、気になるのが「ジョディオはこのあと改心するのか?それとも悪の道を突き進むのか?」という点です。普通に考えれば、どこかのタイミングで善になってハッピーエンドなんでしょうが、なんだか一抹の不安(というかむしろ期待)があります。
だって善人が億万長者になれるワケないじゃないですか。それにディオといえば悪のカリスマですよ。荒木先生は「ブレイキング・バッド」好きだって聞いたことあるし。何より「人間賛歌」を推してきた漫画が最後に「悪の勝ち」で終わるとか、考えただけでゾクゾクしませんか。
余談ですが「人間賛歌が好きでジョジョ読んでます!」って人をたまに見ますが、アレ本心ですかね。人間賛歌が好きなら図書館で偉人の伝記でも読んだほうがいいんじゃないかと思います。
たぶんNHKインタビューの内田理央みたいな耳ざわりの良い「ビジネス理由」でしょう。本当の理由が「圧迫祭りが好きだから」とか「群生型スタンドを見るとなぜかムラムラするから」だとしても言えませんから。閑話休題。
また、ジョディオの善悪問題以外に、やまぴーは第9部で触れてほしいテーマがひとつあります。それは「父性」についてです。
ジョジョの物語はこれまで「母は善、父は悪(または空気)」の考えで物語が進んできました。ジョジョに登場する父親の大半はロクデナシです。
子供のころは読んでいて何とも思わなかったのですが、自分自身が父親と呼ばれる年齢になると、荒木先生の父性に対する考えが非常に気になります。ジョディオの善悪問題にからめて読んでみたいテーマです。
それにしても、大人になって漫画を読み返すと感じる箇所が変わりますね。この前「ドラゴンボール」を読んだら「悟空さ!あんた結婚してから一銭でも稼いだことあったか!?」というセリフに胸が苦しくなりました。
ジョジョランズの世界観についての考察
第一話から考察できるジョジョランズの世界観として、まず舞台はハワイで確定です。次に時代ですが、車内でデュア・リパを聴いてることから、彼女がデビュー後の2015年以降だと予測できます。
って、例のアレがセリフに出てくるから2019年以降ですね。第9部は珍しく西暦がありませんでした。やまぴーの推理では、ジョジョリオンが2011年なのに10年も続いちゃったから、今度は西暦を誤魔化してるんだと思います。
漫画と現実の時間差は、長期連載では避けられない問題です。「はじめの一歩」なんてずっと20世紀なんですから。
また、吉良の家系図が出てきたことから、SBR以降の世界軸で進行していることも確定しました。
しかし、これに関しては荒木先生に「岩人間やロカカカはもう出さないでね」と強くお願いしたいです。マジで。トラウマが蘇るから止めてください。ハワイに流れついた夜露のおちんちんならギリ許します。
でもSBRの子孫が出るのは歓迎です。そのあたりはミーハーにできてます。
第一話を読む限り、第9部は「スタンドを隠さない」世界観のようです。このあたりも第5部との対比がすごい。ギャングじゃなくて半グレだから思慮が足りないんでしょうか。それとも陽気なハワイの土地柄でしょうか。
また、テーマともからんできますが、ジョディオのまわりは「犯罪で得た信用も生きるためには必要」な世界観です。この「悪・即・信」の世界観がどこまで続くのか、非常に見ものです。
しかし、やまぴーが子供のころは遠い世界の出来事だと思っていた麻薬犯罪も、最近は身近に感じるようになりました。日本も国際社会の仲間入りを果たしたということです。
ひょっとしたらジョジョランズの展開が、意図せず近年世間を騒がせている海賊団漫画を模した事件に酷似するかもしれません。ですが、世論に忖度せずにぜひ世界観を描ききってほしく思います。
最近では各テレビ局が集英社に忖度を働かせてくれるから大丈夫でしょう。安易に漫画と犯罪を結びつけるような報道をして、二匹目の「鬼滅の刃」の放送権を逃すようなことがあっては大損害ですから。30年前なら、テレビカメラで新宿や渋谷を映しながら「ここに10万人の海賊団がいます!」とレポーターが叫んでいたはずです。
ジョジョランズのストーリーについての考察
最後に、ジョジョランズのストーリーについての考察です。
まだ始まったばかりでどうなるかわかりませんが、見開きで「大富豪になっていく物語」とある以上、ジョディオが大金持ちになることは間違いないはず。となると、気になるのは「どうやって金持ちになるか」です。
なんか「仕組み」とか「信用」がどうこうとか言ってるので、どうしても詐欺のイメージがします。詐欺じゃないにしても「秒速で稼ぎましょう!」とか「お金に仕事をしてもらいましょう!」とか言っちゃうタイプ。お金でお金を倍々ゲームみたいな。ってことは『トリリオンゲーム』みたいな感じになるんでしょうか。
「変な立ちポーズが売りの高級食パン屋」を世界展開するため、ジョディオが合同会社『焼きたて!! ジョぱん』を立ち上げるとか。コンサル料ぼったくりの逃げ切りスタイルに加え、パン生地にコオロギを練り込むことで政府からの助成金ゲットにも成功するジョパン。しかし知り合いのパン屋が騙されたことを知った『ジャンケットバンク』の真経津が、チョココロネの仇を打つべくジョディオの元へやって来きます。
うん、ないな。
どうでもいいけどマネーゲームの漫画って、話は面白いけど絵柄がアレなの多いじゃないですか。三田紀房先生とか福本伸行先生とか。第9部がマネーゲームに突入して、荒木先生の絵柄がアッチ寄りにならないか心配です。
ってことは、やはり裏稼業で成り上がっていく展開でしょうか。先にも触れてますが、ホントに墜ちきって悪の頂点に立つのもアリかもしれません。それでこそディオの名を受け継ぐものです。
ハワイ全土を手中に収めたジョディオの次なる相手は、麻薬を嫌う情熱的イタリアギャング組織です。国境を越えた血みどろの抗争は、BL同人作家たちの創作意欲を刺激しまくるでしょう。
そして最後は抗争に敗れすべてを失うジョディオ。しかし、そんなジョディオの無銭弁護を引き受けに来た人物こそ、学校でイジメられていた日系人「ジョナス・九条」だった(スタンド名はブラック・サンダー)。偶然にも「九条」から「ジョジョ」が作れて、やまぴー自身も驚いてます。
って、ストーリーだけは全然考察になってないですね。お得意の妄想を展開してるだけですね。すみません、はじめからそのつもりでした。
ジョジョランズ第1話のおまけ
ウルジャン目次の荒木先生のコメントは、
JOJO第9部よろしくお願いいたします。自分的に描いてて特に好きなのは[パコ]です。
パコはポルナレフやミスタと近い陽キャのニオイを感じさせるキャラですね。奇数ジョジョのときはこういう陽気キャラが活躍するのがジョジョの常です。
やまぴーはメリル・メイを推します。できればスタンド能力ナシで活躍して、早人やマコリンのような存在になってもらいたいです。
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