ウルトラジャンプ2020年6月号に掲載されたジョジョリオン第97話『終わりなき厄災 その③』のあらすじと感想を、ジョジョ歴30年の管理人やまぴーがネタバレありで語らせていただきます。
※これまでのジョジョ全般のネタバレにも触れていますのでご注意ください。
少し前に、荒木飛呂彦先生がNHKで鳥獣戯画についてコメントされてた番組は見ましたか?
荒木飛呂彦が「鳥獣戯画」の謎に挑むドキュメンタリー、NHK総合で地上波初放送 https://t.co/UUbMMSGjbb
— コミックナタリー (@comic_natalie) May 14, 2020
みなさん、「相変わらず若い!」とか「相変わらず声が高い!」とか言うのは自由ですが、番組のメインは鳥獣戯画ですからね。
でも、鳥獣戯画ってボヘミアン・ラプソディを思い出すよね。
やまぴー的には、鳥獣戯画を描いた絵師の子孫がウォルト・ディズニーだと思ってます。
※5/30追記
ジョジョの元ネタまとめ記事を書きました。かなりの力作です。
前回のあらすじを忘れた人は↓
コミック23巻の感想↓
ジョジョリオン97話のあらすじと感想
自分でフラグを立てる常敏
扉絵は、第8部のラスボスとの噂も高い東方常敏(ひがしかたじょうびん)と、スタンドのスピード・キング。
アオリは
その熱は禍いを焼き払えるか――
アヴドゥルに比べて火力不足なため、焼き払うのは厳しいように思えます。しかも常敏こそ禍いかもしれません。
ページをめくると、#96からの続きで舞台は東方邸。ベッドのシーツに潜んだと思われるTG大学病院長、明負悟(あけふさとる)院長を攻撃する常敏と、院長への攻撃は駄目だと叫ぶ常敏の妻、東方密葉(ひがしかたみつば)。
アオリは
それは家へと侵入した…
ベッドにパンチをかますスピード・キングがかっこいいです。しかし、常敏がシーツをめくってもそこに院長の姿はなく、あるのは潰れたスプレー缶だけ。
スタンドの攻撃で熱されたスプレー缶は中身が沸騰し破裂。しかし、常敏はクッションを使って楽々と破片を防御します。
密葉へ院長のスタンドについて尋ねる常敏。彼自身は未だに院長のスタンドを見ていません。
密葉は、院長の姿は「厄災」であり、新ロカカカを持っている限り「禍い」の攻撃はずっと続く、と話します。
東方家の病気で苦しむ息子つるぎのため、東方邸から逃げ出すことを提案する密葉。しかし常敏は賛同せず、代わりに密葉へ感謝を伝えます。密葉がいるから常敏が、つるぎがいることを。そして大切な家族を守るため、新ロカカカは絶対に手放さないことを。
「本体」がどこかにいる
それも「新ロカカカ」の存在がバレたのなら
屋敷の近くにな… 来ている!
常敏は逃げるのではなく、ここで敵を迎え撃つつもりです。
モニタールームから外の様子を確認する常敏。ガレージ前には瀕死の広瀬康穂(ひろせやすほ)がうずくまっています。そして、敷地外の木陰には東方邸の様子を伺う人影が。
人影に驚く常敏ですが、咳払いと同時になぜか吐血。よく見ると左手も血がベットリとついており、呼吸困難でよろめいています。服の下から流れ出る多量の出血。服をずらして見ると、左胸に刺さった管から血が噴き出しているのです。
そう、スプレー缶が破裂したとき、折れたノズルが常敏に突き刺さっていたのです。ページを戻して確認すると、途中から常敏の左胸がロカカカの鉢で見えなくなるという伏線までわかります。オージロー戦でつるぎがスマホを握っていたのと同じ伏線ですね。
刺さってる管は小さいのに、ものすごい勢いで出血する常敏。心臓近くの動脈に刺さったのでしょうか。六壁坂の釜房郡平を彷彿させる血しぶきです。
追い打ちのようにロカカカの鉢までが常敏の身体に激突し、更に血しぶきが上がります。いやコレ完全に血の海状態じゃあないですか。虹村さん掃除するの一苦労ですよ。
ナランチャのボールペン管は救命でしたが、常敏のスプレー管は命取りだったようです。そもそも、常敏がいつも言わない感謝を口にするあたりが命取りでしたね。ナランチャの「故郷に帰ったら学校行くよ」ぐらいの死亡フラグです。
ロカカカの鉢は常敏の手を離れ、ガレージのドアまで転がっていきます。これまたロカカカを奪われるフラグが立ったところです。
パンゲアからの使者
舞台は変わり、講演会が終了して垂れ幕が撤去されているTG大学病院。#93で登場したバイク・ハイの配達員が、講演会場の記者に定助から預かった荷物を届けています。送り先が同じ敷地内とは、なんてチョロい仕事でしょう。バイクいらないじゃん。
届け先には、『科学雑誌 パンゲアランド 記者様』と書かれています。そして登場したのは、パンゲア・ランド(通称パンラー)の記者である田岡という男。って、荒木先生ちょっと待ってください。なんですか、このキャラ造形は。やり過ぎとかの次元じゃねえぞ。
カリメロにツインテールをミックスして、さらにヒゲとニキビを足したおっさん。髪型はちょっと渡辺直美っぽいかな。全体イメージはもはや言葉で表現できません。正直いって、この後の展開がどうでもよくなるほどのインパクトでしたね。
ちなみに、パンゲア(Pangaea/Pangea)っていうのは、いま地球にある大陸が分裂する前ひとつだったときの呼び名です。
そんなパンラーの記者パ田岡は、明負院長の控室に入り院長にあいさつ。社交辞令的な講演会の賛辞を述べると、本題に入ります。それは(定助から)届いた荷物の中身についてです。
荷物の中にあったSDカードには、昏睡して眠る吉良(きら)ホリー・ジョースターの画像が。また、砕けたロカカカが入ったビン、そして3Fのロカカカ実験室の画像まであります。
再生医療の「ロカカカ6251」というのは
この「フルーツ」ですか?
そして臨床試験がマウスだけでなく
もし画像の「吉良ホリー」さんで行われていたとしたなら…
もの凄く大問題ですよ
なんと、定助の目的はマスコミを使って院長を追い詰めることだったのです。なんてスタンドいらずな機転の利かせ方でしょう。リーク情報を得たパ田岡は、明負院長に文春砲をロックオンです。
君は わたしを… 「追う」つもりでここへ来たのかね?
院長の質問に「そうです」と即座に答えるパンラーの記者。え、ウッソ!?パ田岡の死亡フラグも立っちゃったじゃん!
質問中の院長の瞳がときどきバトーみたいになって怖いです。
普段は片眼メガネでシュトロハイムっぽいのに。
さらに、ビンの中身のフルーツはフタを開けて確認したのか尋ねる院長。もし開けて確認したのなら、果汁が指の爪や皮膚についているかもしれない、と話します。
何を言われているのか分からないパンラーの記者とは逆に、明負院長はすべて分かったようです。記者の情報源は誰か、そして記者がどういう末路を辿るのか。
フルーツの名前がロカカカであることを告げると、記者の質問を無視して控室を出る明負院長。呼び止めようとするパ田岡ですが、ふと自分の顔にあったニキビが治っていることに気づきます。
しかし、代わりに首の後ろが岩化。首の後ろにある後頸部は、運動神経の束がある人体の弱点です。花京院の当て身を思い出してみてください。ジジイが気絶してもタワー・オブ・グレーが動いていたことは忘れてください。
そのままボクンッ!と音を立ててパ田岡の首がヘシ折れます。本当に第8部はモブキャラの扱いが酷いですね。というか、こんな素敵なキャラを一話で殺すなんてもったいないですよ。クラフト・ワークやリトル・フィートの能力が敵側で登場したときぐらいのもったいなさを感じます。
なお、果汁が皮膚にしみ込むだけで等価交換が起こるのはおかしいです。#081で羽伴毅が2/3以上摂取すると説明してたのに。
文春砲を免れ建物の外に出た院長を最初に見つけたのは、前回ポチャ男を犠牲にして留置場から脱出した豆銑礼(まめずくらい)。これまで散々追いかけていた院長に、後ろから追われる構図になっています。
「コイツ」…向かっているッ!
つまりオレと同じ所へだ…
その向かう先は、ロカカカ実験室にいまだ鎮座している東方定助(ひがしかたじょうすけ)。主人公ながら相変わらずの出番のなさで、今月はラスト2ページにしてようやく登場です。
ヤツは…
『決してこちらから追う事は出来ない』
『追わせるのは良い』
主人公が追いかけないパターンは、歴代ジョジョでも珍しいかも。あとは皆が間違えずに合流できることを祈るのみです。
匂わせ男子の透龍くん
話を少し戻して東方邸へ。
常敏が監視カメラで見た人物の正体、それは康穂ちゃんの元カレ透龍(とおる)くん。これまでたびたび怪しい行動をしていたため、むしろミステリーでは犯人候補から外されるタイプでしたが、普通に犯人側だったようです。
第7部であった「憲助と思わせて実はサンドマン、いや本当はサウンドマンでした」みたいなどんでん返しはありませんでした。
iPodを聴きながら、一人カラオケを熱唱中。きっと「音石」という名のギタリストとバンドを組んでいるのだと思います。
瀕死になってガレージで助けを求め続ける康穂ちゃん。を、ほっといてカラオケに夢中な透龍くん。気持ちいいほどにクソ野郎です。
ちなみに聴いている曲は、オージー・オズボーンのクレイジー・トレインとエルビス・プレスリーのワンダー・オブ・ユー。完全に荒木先生の趣味でしょう。ワンダー・オブ・ユーはコミックスのタイトルにもありましたね。
視聴できるAmazonリンク貼りますので興味ある人はどうぞ。ジャケットも同じヤツ見つけました。
ちなみに、戦闘中に歌ってるヤツといえば、バキのドリアン海王とハチワンダイバーの獣人右角を思い出します。正確には右角歌ってないけど。
戦姫絶唱シンフォギアってのもあるらしいですが、おじさん最近のアニメはわかりません。
お願い… 助けて
熱唱する元カレのそばで、ガレージで瀕死の康穂ちゃん。可哀そうとしか言いようがありません。
が、常敏の懸念どおり東方家に敵を引き寄せたのは康穂ちゃんなのです。もののけ姫なら猩々から『お前たち破滅連れて来た』と小枝を投げつけられるところです。
ふと熱唱を止めイヤホンを外す透龍くん。病院にいる定助の思惑に気づいた様子です。
「東方定助」だ…
面白い
「追わずに」…誘って…来た!
このシーン、よくわからないんですが、透龍くんと院長の精神がリンクしてるってことでしょうか。それとも明負院長はめっちゃ自立タイプの透龍くんスタンドってことでしょうか。だったら階段にいたバオーの腕したスタンドは誰のスタンド?
アオリは
機も熟したのか…
最後のコマに描かれている康穂が小さ過ぎて、コミックスの空ページを埋めるカットみたいでシュールです。ホントに右腕は誰がくっつけるんでしょうか。
新ロカカカの収穫まであと2時間11分
ジョジョリオン97話のまとめと考察
ジョジョリオン97話をまとめると、ポイントは以下のとおり。
- 厄災の激突を受けた常敏が出血多量で倒れる
- 定助はバイク便でマスコミの記者にロカカカの情報を送っていた
- 明負院長にロカカカの秘密を追求した記者が殺される
- 定助を始末しようとする明負院長と定助を助けようする豆銑礼が遭遇する
- 透龍は明負院長の仲間で、定助の「追わせる」誘いに気づいた
今回はジョジョリオンの3大ヴィランズたちが大活躍する回でしたね。
常敏がやられたのはどうでもいいですが、パ田岡がやられたのは本当に惜しいです。できれば今度から一話で死ぬキャラはもっとアッサリした風貌にしてほしいものです。
というか、定助が荷物を送らなければ死ぬこともなかったのに。定助もマスコミに頼らないで自分がYouTuberになって告発すればよかったんですよ。ヒカキンが流行り出したのが2010年なので、時代設定は問題ないはず。ホリーさんの入院費も稼げて一石二鳥です。あ、でも定助に「おうちで過ごそう」とかプロパガンダされるのは嫌だからやっぱ却下。
そして今月で正式にヴィランズ入りした透龍くん。院長との関係性がよくわからないです。
- 明負院長のスタンドがバオーっぽいやつ
- 透龍くんのスタンドが院長の後ろ姿
やまぴーとしては上のように思ってるんですが、ラストページで定助の動向に気づいたってことは、院長が透龍くんのスタンドなのかも。でもあそこまで流ちょうに一般人と話すスタンドってありえないような。いや、スタンドはどんどん例外が出てきてるから、ありえないことはありえないかもしれません。なんかハガレンの名言みたいですが。
透龍くんと康穂ちゃんの関係性も気になります。二人がかつて恋人同士って偶然ではないでしょう。しかも中学時代の康穂ちゃんは岩動物に寄生されてるし。もはやラスボスが康穂ちゃんでもおかしくない勢いです。映画「トータル・リコール」みたいに、中から極悪人格が出てくるとか。
次回の展開ですが、ロカカカを奪おうと透龍くんがガレージのドアを開けた瞬間にボーン・ディス・ウェイの迎撃、とか個人的に激アツな展開なんですが。まあ、ねえな。
あるいは、透龍くんと思わせて開いたドアから「ロカカカは金になるからね!」とカレラが登場するとか。絶対ねえな。
やまぴーの希望としては、バイク・ハイの配達員が領収書の記入漏れでもう一度パ田岡のもとへ。記者の死体に驚いて足を滑らせ、頭を強打して死亡。しかし、死の直前に落ちていたロカカカを吸引してそのままパ田岡と合体。バイク・ハイとパンゲア・ランドが混ざって「ハイランド」というスタンドが誕生します。コミックスの副題は「ニキビスタイルのおじさん」です。原曲はけっこう有名なんで聴いてみたい人は下のAmazonリンクを。
本当にくだらないことが思いつくなぁと、自分でも驚いてます。
ジョジョリオン97話のおまけ
ウルジャン目次の荒木先生のコメントは、
コツコツ描いてますので、私に関してはご心配なく。皆さんも引き続きお気をつけて。
コロナの心配に対するコメントでしょうが、「コツコツ描いてます」あたりに何故か「ちゃんとやっとるわい」なニュアンスを感じてしまいます。
相変わらずコメントが長いですが、今月号は他の先生もコメント長いのであまり目立ちませんでした。オオカミライズの伊藤悠先生なんて、他の先生の2倍くらい長文です。
ウルジャン編集部は文字制限とかしないのかな。
どうでもいいけど、ウサギ目社畜科が終わったのが残念。
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