我はやまぴー。
本日、貴殿たちに紹介する映画はこれである!
映画「ダーク・タワー」日本版予告
タワーを守る最後の戦士。
ガンスリンガー/ローランド・デスチェイン
タワーを崩壊に導く者。
黒衣の男/ウォルター
映画化の話が出ては消え出ては消え…を繰り返していていた、スティーヴン・キングのがライフワークと語る超長編小説『ダーク・タワー』
本国での評価は低かったみたいですが、キングファンとしてはやはり期待せずにはいられません。
大丈夫、キングの原作ファンは映画化で裏切られる経験を山ほどしてますので。
『バトルランナー』や『バーチャル・ウォーズ』に比べればきっとマシなはず…
まずはあらすじとキャスト&スタッフ紹介、そして感想はネタバレなし/ありのふたつです。
なお、今回はかなり中二病テイスト満載で書いてます。ご了承ください。
おれの精神テンションは今! 中二時代に戻っているッ!
あらすじ
ニューヨーク。少年ジェイクは毎夜同じ夢にうなされていた。“巨大なタワー”“拳銃使いの戦士”そして“魔術を操る黒衣の男”…
ある日、この現実世界と夢で見た≪中間世界≫と呼ばれる異界が時空を超えて繋がっている場所を発見する。すべては実在したのだ――。
中間世界に導かれたジェイクは、そこで拳銃使い<ガンスリンガー>に出会う。彼は2つの世界のバランスを保つ塔=ダークタワーの最後の守護者であり、タワーの破壊を目論む<黒衣の男>を倒すため旅を続けていた。
一方、ジェイクこそが唯一タワーを破壊できる特殊能力を秘めた存在であることに気づいた黒衣の男は、その強大なパワーを求め、ジェイクたちの前に立ちはだかるが――。
“ガンスリンガー”、”黒衣の男”、”中間世界”と、もう言葉の設定だけで中二病がフツフツと発病しそうです。しかも世界のバランスを保つ”ダークタワー”とか、北欧神話のユグドラシルそのものじゃないですか。
あ、そういえば、”ガンスリンガー”の中の人は別映画では同じく北欧神話の”ヘイムダル”ですもんね。メガテンだとかなりレベル高い幻魔ですからね。
“黒衣の男”は英語だと”Man in Black”ですが、「黒の男」じゃなくて「黒衣の男」にしたところがお見事です。英語表記のままだとハンコックだし。
キャスト&スタッフ
ガンスリンガー/ローランド・デスチェイン役には、『プロメテウス』『パシフィック・リム』『マイティ・ソー』『アメリカン・ギャングスター』、『28週後…』のイドリス・エルバ。
黒衣の男/ウォルター役には、『ダラス・バイヤーズクラブ』『インターステラー』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』、『マジック・マイク』『コンタクト』のマシュー・マコノヒー
ジェイク役には、TVドラマシリーズ『女医フォスター 夫の情事、私の決断』のトム・テイラー 。
監督は、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』では脚本、『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』では監督・脚本を担当し、アカデミー外国語映画賞にノミネートされたニコライ・アーセル。
そして、原作はモダンホラーの大御所、スティーヴン・キング。
『キャリー』『シャイニング』『ミスト』などのホラー映画の原作はもちろん、『グリーンマイル』『ショーシャンクの空に』『スタンド・バイ・ミー』などの感動モノのドラマ映画の原作まで幅広くこなしています。
最近では、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』が話題になりましたね。
今回は初のファンタジー映画。ファンとしては期待せずにはいられません。
などとキングファンを公言しつつも、ダーク・タワーは巻数の多さにビビって全く読めてません。だって全7部で上下巻あったりするんだもん…
ネタバレなし感想
この映画をひとことでまとめると、
中二テイスト満載で超長編小説がスッキリまとまっている
…んだけど、もっとおもしろくできた気が…
評価:★★★☆☆
こんな人におすすめ!
銃と魔法とファンタジー好きな人
こんな人にはNG!
中二病テイスト嫌いな人、原作ファン(多分)
中二病テイストが満載
あらすじでも言いましたが、もう言葉の設定だけで燃えてきます。”ガンスリンガー”って単語だけで10分は盛り上がれそう。
しかもファンタジー世界の拳銃使いだから、ありえない銃の使いこなしをバンバンやってくれます。特にリロード関連の技が「おいおいそりゃねえよ」レベルで燃えます。撃ってる姿より、リロードする姿に燃えます。中二病の奴はきっとそうです。
もちろん撃ち方も人間離れしてて、「ガンカタ」認定できそうなレベルです。『ジョン・ウィック』や『リベリオン』のレベルってことです。
しかもバンバン撃ちまくるだけじゃなく、精神を集中して「ここぞの一発」まで撃てます。ボタン連打系じゃなくて溜め系の一撃です。
しかも!前説まで付いてるんです!
我は手で狙い定めぬ。
手で狙い定める者、父親の顔を忘却せり。
我は目で狙い定める。
我は手で撃たぬ。
手で撃つ者、父親の顔を忘却せり。
我は〈気〉で狙い定める。
我は我が銃で殺さぬ。
銃で殺す者、父親の顔を忘却せり。
我は心で殺す。
いやいやいやいや!なんですかのカッコいいキーワードの羅列は。『影技 SHADOW SKILL』の「武技言語」みたいじゃないですか。「我が一撃は無敵なり」ですね。
ていうか大技繰り出す前の前説って万国共通なんですね。バスタードの「ザーザード ザーザード」と同じですね。アレいい加減に完結してほしいですね。
余談ですが、『コブラ』でも「サイコガンは心で撃つ」ものとされています。やはり大事ですね、心。
またローランドの銃の素材が、これまた中二病にはたまらない設定です。いい武器にはいい素材が必須ですね。『うしおととら』の「獣の槍」と一緒ですね。
“中間世界”とか”ポータル”とか完全にロープレ設定。敵の基地はFFっぽいし、味方の村はドラクエっぽいし、いいとこどり過ぎます。
もちろん主人公が泊まる村は襲撃されるというお約束も健在。
上映時間が短いために各ワードの説明があまりなく、それがまた中二病のハートをつかむことに一役買ってる気もします。そこまで考えて尺を短くしたんなら天才ですね。絶対ないけど。
余談ですが、ラスボスの名前は”クリムゾンキング”みたいです。そんな名前のラスボスで味方が拳銃使いだと、セックスピストルズの彼が浮かんでしまいます。
キングテイストが満載
『ダークタワー』は、おなじみのキングテイストも満載です。
不安定な思春期に、子供を理解してくれない大人。主人公ジェイクにからむいじめっ子の存在も健在です。(弱いけど)
このあたりは、少し前に公開された『IT/イット』のルーザースクラブの連中とほぼ一緒ですね。
また、キング小説でおなじみの「強すぎる敵」の存在も健在です。
魔術だか幻術だかよくわかりませんが、しゃべるだけで支配できるなんて強すぎですよ。パワーインフレですよ。
しかもウォルターさん、部下がたくさんいるのに自分でどんどん動いちゃうプレイングマネージャータイプ。強さも際立ってました。
『IT/イット』のペニーワイズもそうですが、「コレどうやって倒すの?」な無理ゲー感がいいですね。魔界村みたいな。
そうそう、ペニーワイズといえば、今回の『ダークタワー』でも一瞬遊園地の残骸が登場してましたね。もともと原作『ダークタワー』というのが、キング小説全体を結ぶ、いわば「キングユニバース的存在」です。だから、いろんなキング小説の要素が登場するんだとか。スマブラみたいなもんですね。
余談ですが、もともとキングは作品同士を繋げるのがすごく上手な作家です。
ふたつの物語が同一の時間帯で進行する『ジェラルドのゲーム』と『ドロレス・クレイボーン』、別々の物語に同じ名前のキャラクターたちが登場する『デスペレーション』と『レギュレイターズ』、さらには『IT/イット』から15年後に同じ場所で『ドリームキャッチャー』が始まったり。
マーベルコミック並、いやマーベルよりクロスオーバーはすごいです。
なお、『ダークタワー』では、「父」がローランドにとってもジェイクにとっても特別な存在であり、彼ら自体が疑似的な親子関係を築くストーリーになっています。
また、上記に載せたガンスリンガーの教義でも「父親の顔を忘却せり」という言葉が出てきます。
実はスティーヴン・キングの父親は、彼が子供のころにフラリと出かけてそのまま行方不明になっていますので、それを考えるとなかなか興味深いですね。
※ここから先はネタバレありです。知りたくない人は映画鑑賞後にまたお会いしましょう。
映画を観ずに進む者、父親の顔を忘却せり。
我は観て進む。
俺の出番少なくない?
ネタバレあり感想
もったいなさも満載
前評判の低さのわりには予想以上に楽しめる映画でしたが、やはり全体を通して説明不足な感じは否めませんでした。
ジェイクと父親のエピソード、そしてローランドと父親のエピソードはもっと知りたかったですね。
ウォルターの言霊攻撃がローランドには効かない理由を「心が強いから」とすごいザックリ説明してましたが、もうちょっと気の利いた説明もほしかったかな。
あと、ジェイクとヤギの世話してる村娘の恋仲が気になったり、ダークタワーを知ってそうなニューヨークのホームレスも存在も気になりました。
原作読んでる人はわかったのかな。映画オリジナルの設定だとお手上げですけど。
ウォルターのそばにいた美人の女(ニセモノの顔だけど)なんて、ゼッタイ原作だと役割あったはずですよ。映画だとウォルターの腹いせに顔に火傷を負わされただけだもんな(ニセモノの顔だけど)。
そもそもタワーの存在が、遠くから見てるだけだとイマイチ意味がわかりませんでした。いたいけな少年少女の悲鳴砲を食らうだけだったもんな。
ラストのバトルもガンスリンガーの教義を唱えて倒すのかと思ったら、跳弾での弾道ずらしというトリッキーな技で倒してるし。
まあ、まっすぐ撃った一発目に、後からナナメに撃った二発目が当たるっていうのがすごいといえばすごいけど。
全編を通して「もっとおもしろくなったかも」と思えたところがちょっと残念でした。
続編への妄想
『ダークタワー』ってこれで終わりなんでしょうか?
ローランドとジェイクは旅を続けるようだし、ラスボスのクリムゾンキング倒してないし、続けることは可能ですよね。
ぜひ続編では尺長くして、ガッツリ物語を説明してほしいです。なんなら三部作、いや七部作でも構いませんよ。それぐらいのネタはあるでしょう。
あるいは、もう原作完全無視して、横山光輝の「ジャイアントロボ」みたいなキングキャラ総出演のハチャメチャバトルにしちゃうか。
炎の少女チャーリーとサイキックガール・キャリーの対決とか。
拘束王ジェラルドVSナチスの残党アーサー・デンカーとか。
回復役として看護師のアニー・ウィルクスが加わるとか。
骨とう品屋「ニードフル・シングス」で買ったポラロイドカメラのシャッターを押すと地獄の番犬クージョが飛び出してくるとか。
スマホで操られるゾンビをランゴリアーズが食い散らかすとか。
クリムゾン側のクリスティーンに対抗すべくローランドがビュイック8をぶつけるが、そもそも車じゃないから動かないとか。
ジョン・シューターとジョージ・スタークの夢の裏方対決とか。
いやあ、中二病的な妄想ってたのしいね!
キング作品知らない人には「はぁ?」な内容でごめんなさい
でもそれが中二病ですから。
◆こちらもオススメ
ダークタワー
The Dark Towerキャスト
イドリス・エルバ – ローランド・デスチェイン(ガンスリンガー)
マシュー・マコノヒー – ウォルター・オディム(黒衣の男)
トム・タイラー – ジェイク・チェンバーズ
デニス・ヘイスバート – スティーヴン
ニコラス・ハミルトン – ルーカス・ハンソン
キャサリン・ウィニック – ローリー
ホセ・ズニーガ – Dr.ホッチキス
クラウディア・キム – アッラ
フラン・クランツ – ピムリ
アビー・リー・カーショウ – ティラナ
ジャッキー・アール・ヘイリー – セイヤー監督 ニコライ・アーセル
脚本 アキヴァ・ゴールズマン、ジェフ・ピンクナー、アナス・トーマス・イェンセン、ニコライ・アーセル
原作 スティーヴン・キング「The Dark Tower」
製作 アキヴァ・ゴールズマン、ロン・ハワード、エリカ・ハギンズ
製作総指揮 G・マック・ブラウン、ジェフ・ピンクナー
配給 アメリカ合衆国の旗 コロンビア映画