映画『デトロイト』を観た後の気分は最悪、でも見るべき(ネタバレあり感想)

デトロイト

こんにちは、やまぴーです。
本日ご紹介したい映画はこちら!

1月26日公開『デトロイト』日本版オリジナル 第二弾予告

米史上最大級の〈デトロイト暴動〉の渦中に観客を誘う
極限サスペンスに貫かれたキャスリン・ビグロー監督最高傑作

本年度アカデミー賞最有力!
は残念ながら逃しましたが、実話ベースの社会派映画を撮らせたらピカイチのビグロー監督が、戦争の次に選んだテーマがこちら「デトロイト暴動」

暴動からちょうど50年、この映画にはどんな意味が込められているのでしょうか。

あらすじ

1967年、米史上最大級の暴動勃発。
街が戦場と化すなかで起きた“戦慄の一夜”

1967年7月、暴動発生から3日目の夜、若い黒人客たちで賑わうアルジェ・モーテルに、銃声を聞いたとの通報を受けた大勢の警官と州兵が殺到した。そこで警官たちが、偶然モーテルに居合わせた若者へ暴力的な尋問を開始。やがて、それは異常な“死のゲーム”へと発展し、新たな惨劇を招き寄せていくのだった…。(公式HPより)

監督と登場人物

デトロイト

監督 – キャスリン・ビグロー

『ハートロッカー』(2008)、『ゼロ・ダーク・サーティー』(2012)など、徹底したリアルな描写で臨場感溢れる社会派映画を撮ってきたビグロー監督。元夫はジェームズ・キャメロンなんですが、ぜんぜん作風が違いますね。ちなみに、キャメロンの小説を原作にした『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』(1995)という映画の監督をして、制作費4,200万ドルに対し興行収入800万ドルという歴史的赤字を記録してます。
アカデミー賞では女性初の監督賞を受賞した監督でもあります。ただ、今作はアカデミー賞にノミネートされなくて残念。テーマ的にも選ばれそうなものなのに、審査員も観ててツラかったのかな?

ジョン・ボイエガ – メルヴィン・ディスミュークス
モーテル近隣の雑貨店の警備をしていた黒人。銃声を聞き、白人警官とともにアルジェ・モーテルに駆けつける。白人に対して絶対に逆らわない態度から黒人仲間に「アンクル・トム」(卑屈で白人に従順な黒人)と蔑まれることも。アルジェ・モーテルでただひとり、銃を携帯していた黒人。
演じるのは、『スター・ウォーズ』シリーズ、『ザ・サークル』『パシフィック・リム:アップライジング』のジョン・ボイエガ。

ウィル・ポールター – フィリップ・クラウス
デトロイト市警察の白人警官。暴動が起きる街を「守らねば」という強い使命感を持っているが、黒人に対する根強い差別感と思慮のなさから、その行動は常軌を逸脱していく。銃声を聞き、仲間とともにアルジェ・モーテルに駆けつけ、狙撃犯を探すため黒人たちへ暴行を加える。
演じるのは、『レヴェナント:蘇えりし者』『ナルニア国物語』『メイズ・ランナー』のウィル・ポールター。
観ている者全員の胸クソを悪くする最低のクソ野郎の演技はお見事!

ジャック・レイナー – デメンス
デトロイト市警察の白人警官。クラウスとともに、アルジェ・モーテルで黒人たちへ暴行を加える。しかし、他の仲間より頭が悪いため、彼の行動で事態はさらに最悪の方向へ向かう。
演じるのは、『トランスフォーマー/ロストエイジ』『シング・ストリート 未来へのうた』のジャック・レイナー。

ベン・オトゥール – フリン
デトロイト市警察の白人警官。クラウスとともに、アルジェ・モーテルで黒人たちへ暴行を加える。クラウスに及ばずとも十分なクソ野郎。
演じるのは、『ハクソー・リッジ』、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』のベン・オトゥール。

オースティン・エベール – ロバーツ
暴動鎮圧のため派遣された軍人。アルジェ・モーテルでクラウスたちデトロイト市警とともに、黒人たちへ「死のゲーム」を行う。
演じるのは、『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』のオースティン・エベール。

ジョン・クラシンスキー – オーバック
アルジェ・モーテル事件で起訴されたクラウスの弁護士。
演じるのは、『かけひきは、恋のはじまり』『恋するベーカリー』『プロミスト・ランド』

アルジー・スミス – ラリー・リード
R&Bのバンドグループ「ザ・ドラマティックス」のメインボーカル。デトロイトのライブで、出番直前に暴動でライブが中止となり、仕方なく友人のフレドとともにアルジェ・モーテルへ宿泊する。
演じるのは、『アース・トゥ・エコー』のアルジー・スミス。

アンソニー・マッキー – グリーン
ベトナムからの帰還兵。仕事を探すためにデトロイトにやってきてアルジェ・モーテルに滞在。警官が踏み込んだときに白人少女と一緒だったため、売春婦のヒモと誤解される。
演じるのは、『ハート・ロッカー』『アベンジャーズ』シリーズのアンソニー・マッキー。

ジェイソン・ミッチェル – カール・クーパー
アルジェ・モーテルにいた黒人の若者。白人から差別される日々に恨みを抱いている。彼がいたずら心で窓からおもちゃの銃を撃ったことにより、悪夢の惨劇がはじまる。
演じるのは、『ハード・ラッシュ』『ロキシー』『キングコング:髑髏島の巨神』のジェイソン・ミッチェル。

ジェイコブ・ラティモア – フレド・テンプル
「ザ・ドラマティックス」の元メンバー。仲間のライブの応援に行ったが暴動によりライブは中止。仕方なく友人のラリーとともにアルジェ・モーテルへ宿泊する。
演じるのは、『リセット』『メイズ・ランナー』『素晴らしきかな、人生』のジェイコブ・ラティモア

ハンナ・マリー – ジュリー・アン
友人とモーテルにいた白人女性。性的にかなり奔放らしく、白人と黒人の交際が認められなかった60年代に、麻薬と売春の温床であるアルジェ・モーテルで複数の黒人と遊んでいた。
演じるのは、『殺しのナンバー』「ゲーム・オブ・スローンズ」のハンナ・マリー。

ネタバレなし感想

この映画をひとことでまとめると、

歪んだ社会の闇を2時間半も観せられて気分は最悪
それでも観るべき価値のある映画

評価:★★★★☆

こんな人におすすめ!
社会派・ドキュメンタリー好きの人

こんな人にはNG!
長時間の緊張に耐えられない人、一回観た人

正直に言わせてもらうと、もう二度と観たくない映画です。
しかしながら一度は観るべき映画かな、とも思います。
でも人にはちょっと勧めづらいな、とも思います。

そんないいのか悪いのかよくわからない気持ちになってしまう映画『デトロイト』。その理由を以下3つにまとめました。

リアルすぎる臨場感

デトロイト

映画『デトロイト』の特徴のひとつはリアルな、いや、リアルすぎる臨場感。スクリーンの向こうの出来事ではなく、まるで自分がその場にいるかのようです。

暴動当時の映像を使用して、50年前のデトロイト暴動を完璧に再現するビグロー監督の手腕。映像から漂うリアリティに加え、ビグロー監督の前作『ゼロ・ダーク・サーティー』と同様の実話をベースしたストーリーが、我々にフィクションなのか現実なのかの境界線を曖昧にさせてしまいます。

こうした「リアリティの演出」が、『デトロイト』でマイナスに働いてしまった部分も。この映画の最大の山場であるアルジェ・モーテルの暴行シーンです。

延々40分と続けられる、白人警官たちの黒人に対する暴力。
観てる側もモーテルにいるような気分になり息が詰まります。しかも40分。
身動きも取れません。だって動いたらライフルで殴られそうだから。トイレ行きたくなったら最悪です。

トラウマになりそうな臨場感は勘弁していただきたいですね。

狭すぎるモーテル

デトロイト

しかもこのモーテルが狭いんです。いや、モーテル自体は本館と別館あるしプールもあるんですが、暴行シーンの40分間は、ほとんど移動がありません。
ほとんどの時間、黒人たちは別館の階段ヨコの壁に両手と額を押し付けられた状態です。たまに尋問のために別室に移動することがありますが、基本はずっと階段ヨコ。

「そのころ市街地では?」とか画面が切り替わることもナシ。延々別館の階段ヨコ。両手と額は壁につけたまま。なにかあれば白人警官に殴れらる。時には別室に呼ばれて殴られる。

すさまじい閉鎖感にどんどん気分が悪くなってきます。
一緒にモーテルの壁に手をついている気分です。

『ソウ』という密室で強制的に殺人ゲームを行うホラー映画がありますが、『デトロイト』に比べたら、『ソウ』のほうがまだ動ける選択肢ありますよ。

「選択はお前たちにはない」

悲しすぎる結末

デトロイト

事実レベルのネタバレになりますが、モーテルで黒人たちを殺害した白人警官3名は、自白があったにもかかわらず、全員が白人の陪審員のもと全員無罪に。

ディスミュークスは殺される恐怖からデトロイトを離れ、別の町で警備員の仕事を。

後に起こった民事裁判では警官に有罪判決が下ったが、賠償金は5,000ドル。
ラリーはザ・ドラマティックスを脱退し、教会の聖歌隊へ。

最後にほんちょっぴりハートフルなシーンがありますが、基本的には理不尽な展開からの報われない結末。

それがフィクションではない現実なのかもしれませんが、ちょっと辛いよね。

まとめ

観ることが苦行に思えてくるような映画『デトロイト』。

しかし、
「50年前のアメリカに何が起こったのか」
「今の情勢は50年前と変わっているのか」
こうしたことを考えるうえでは、非常に良い映画です。

トランプ政権下、白人警官の黒人に対する射殺事件が急増してるなかで、ビグロー監督がこの映画を作った理由がよくわかります(アカデミーの人にはわかってもらえなかったけど)。

クラウス役のウィル・ポールターが、役作りのうえで差別の原因を「無知」と考えたことも興味深いです。

1月26日公開映画『デトロイト』ウィル・ポールター_インタビュー

やるなポールター。だがお前の顔は見たくない(良い意味で)。

実際、3人の白人警官以外にもクソ野郎な白人はたくさん登場するわけで、暴動やモーテル事件が起こる下地は十分にできていることがわかります。
かたや黒人のほうも、店のガラス割って強盗する奴や放火するクソ野郎がいて、一方的な被害者とは言い難いんですよね。

単純に善悪で分けられないところがこの映画の奥深いところです。

クラウスも登場のときは正義感に燃えてるキャラに見えたもんなあ。
3分でひっくり返されたけど。

うん、やっぱり一度は観るべき映画ですね。

やまぴーはもう二度と観たくないですけど。

※ここから先はネタバレありです。知りたくない人は映画鑑賞後にまたお会いしましょう。でも観たあとはもうこの映画のことは考えたくなくなるかも。

デトロイト

「アベンジャーズだからって調子に乗んなよ」

デトロイト

「巨大ロボ?ぜひ操縦させてください!」

ネタバレあり感想

はじめは深夜の違法クラブの摘発という簡単な仕事かと思って行ってみたら、黒人いっぱいいるわ、捕まえた黒人を裏口から出そうと思ったら裏口が開かなくて、仕方なく表に並ばせたら人がいっぱい集まってきて騒ぎだすわ、そしたらモノ投げてくる奴がいるし、店から自転車盗む奴まで出て来るし(自転車乗れないのに)、朝になっても黒人怒ったままだし…

と、小さな出来事がどんどん収集がつかない大きさに膨らんでいく様子は、一人を助けようとしたら大規模な市街戦になっていた映画『ブラックホーク・ダウン』を連想させてくれます。

もはやコメディ。
そう、あまりにも悲惨なこの映画は、視点を変えればコメディです。

もう笑うしかない

むかし、マンガ家の楳図かずお先生は「恐怖と笑いは本質的に同じもの」と言われてましたが、『デトロイト』もまさにそれです。

「本当に撃ったのか?」と聞かれるデメンズなんて完全にお笑いキャラ。KYも入ってます。

「後ろから撃ったのか?」と聞かれて「撃ち損じました!」と答えるクラウスも負けていません。

デトロイト

取り調べで「いや、暴行などは…」と答えるディスミュークスに、
「暴行?おまえ暴行したのか?」と突っ込む警官。

これ、モーテルでカールとリーがやってたやりとりと同じです。
お笑い用語で「天丼」と言われるネタの繰り返しです。

そもそも、あれだけ波風立てないようにしてたディスミュークスが殺人罪で起訴されるっていうのがもうお笑いですね。

そのほかにも、
窓から外を覗いた少女を狙撃手と間違えて一斉銃撃とか(ちがうやろ)、
暴動中によく見たら白人も店から品物盗んでるとか(お前もかい)、
上司がクラウスを「この差別野郎!」と怒鳴ったり(お前が言うな)、
黒人の店も白人の店も焼かれたり(ここだけ平等)、

ただ、ラストで「クラブで歌わないのか」と尋ねられたラリーが、
「クラブには警官がいる」
と答えたのは心温まるジョークでした。

ラリーの聖歌隊入りだけが、この映画で救われたシーンです。

おもちゃの銃の謎

デトロイト

最後にどうしても理解できなかった点をひとつ。
「なぜおもちゃの銃の話をしなかったのか?」
『デトロイト』を観た人の多くが感じた疑問ではないでしょうか。

正常な判断ができない状況下なのはわかりますが、一人ぐらい
「銃声は競技用ピストルの空砲なんです。撃ったのはそこで死んでるアイツです」
とか言うヤツがいてもいいのでは。

しかし、みんな「銃はありません」と言うばかり。

アルジェ・モーテルから銃声と閃光を複数の警官が確認してるわけだから、クラウスでなくとも「銃ありません」と言われて「ハイそうですか」にはならないと思うんですよ。

なくしたのか、隠したのか、それともおもちゃの銃以外の「何か」があったのか。

この映画はあくまでフィクションですが、非常に気になるところです。

デトロイト

『デトロイト』
Detroit

キャスト
ジョン・ボイエガ – メルヴィン・ディスミュークス
ウィル・ポールター – フィリップ・クラウス
アルジー・スミス – ラリー・リード
ジェイコブ・ラティモア – フレド・テンプル
ジェイソン・ミッチェル – カール・クーパー
ハンナ・マリー – ジュリー・アン
ケイトリン・ディーヴァー – カレン
ジャック・レイナー – デメンス
ベン・オトゥール – フリン
ジョン・クラシンスキー – オーバック
アンソニー・マッキー – グリーン
ジョセフ・デヴィッド=ジョーンズ – モリス
イフラム・サイクス – ジミー
レオン・トーマス3世 – ダリル
ネイサン・デイヴィス・Jr – オーブリー
ペイトン・アレックス・スミス – リー
マルコム・デヴィッド・ケリー – マイケル・クラーク
ベンガ・アキナベ – オーブリー・ポラード・シニア
クリス・チョーク – フランク
ジェレミー・ストロング – ラング
ラズ・アロンソ – ジョン・コニャーズ・Jr
オースティン・エベール – ロバーツ
ミゲル・ピメンテル – マルコム
クリストファー・デイヴィス – 酒場のパトロン
サミラ・ワイリー – ヴァネッサ
タイラー・ジェームズ・ウィリアムズ – レオン
グレン・フィッツジェラルド – アンダーソン刑事

監督 キャスリン・ビグロー
脚本 マーク・ボール
製作 キャスリン・ビグロー、マーク・ボール、ミーガン・エリソン、マシュー・バドマン、コリン・ウィルソン
製作総指揮 グレッグ・シャピロ、ヒューゴ・リンドグレン、ジェイコブ・ラティモア
音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影 バリー・アクロイド
編集 ウィリアム・ゴールデンバーグ
製作会社 アンナプルナ・ピクチャーズ、ファースト・ライト・プロダクションズ、ページ1
配給 アンナプルナ・ピクチャーズ、ロングライド

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