こんにちは!やまぴーです。
今回ご紹介する映画はコチラ↓
12/16公開『彼女が目覚めるその日まで』予告編
NYタイムズベストセラー・ノンフィクション第1位を
[主演]クロエ・グレース・モレッツ
×
[製作]シャーリーズ・セロン
で映画化!
原因不明の病と闘った一人の女性と生きる希望をつないだ家族の感動の実話。
東京でも一館でしか上映していない、かなりマイナーな映画ですが、予告編とキャストが気になったので観に行きました。
製作がシャーリーズ・セロンってすごいね。
『アトミック・ブロンド』のガチンコバトルは素敵でした。
そして、クロエちゃんは相変わらずブサかわいい(褒め言葉)!
まずはあらすじと登場人物、そして作中に出てきた用語解説と、感想はネタバレなし/ありのふたつです。
あらすじ
公式サイトのあらすじがすでに、かなりネタバレしてる気がします。
21歳のスザンナ・キャハラン(クロエ・グレース・モレッツ)の毎日は、希望と喜びに満ちていた。憧れのニューヨーク・ポスト紙で、まだ駆け出しだが記者として働き、いつか第1面を飾る記事を書くと燃えている。プライベートでも、プロのミュージシャンを目指すスティーヴン(トーマス・マン)と付き合い始め、会うたびに互いの想いが深まっていた。
そんな中、父(リチャード・アーミティッジ)と母(キャリー=アン・モス)が、バースデイ・パーティを開いてくれる。二人は離婚していたが、娘のスザンナを通して良好な関係を築いていた。それぞれのパートナーとスティーヴンに囲まれて、ケーキのキャンドルを吹き消そうとした時、スザンナは初めて体調の異変を感じる。皆の声が遠のき、めまいを覚えたのだ。
デスクのリチャード(タイラー・ペリー)から、スキャンダルを抱えた上院議員のインタビューという大きな記事を任されるスザンナ。彼女の才能を認める先輩記者のマーゴ(ジェニー・スレイト)からの後押しもあっての大抜擢だ。
ところが、スザンナの体調は、日に日に悪化していく。視界が揺れ、会話も聞き取れず、夜も眠れなくなり、締め切りを破るだけでなく綴りや文法までミスしてしまう。やがて手足が麻痺するようになり、病院で診察を受けるが、検査結果はすべて異常なしだった。
遂にスザンナは、取り返しのつかない失敗を犯す。上院議員のインタビューの席で、スキャンダルに引っ掛けた下品なジョークで彼を侮辱したのだ。リチャードから激しく叱責されるが、なぜそんな言葉が口から出たのか、スザンナ自身にも分からなかった。
今度は突然、激しい痙攣の発作を起こすようになるスザンナ。両親に付き添われて精密検査を受けるが、やはり異常はない。そうこうするうちに、劇的な幸福感に包まれてはしゃいだかと思うと、その直後には深い絶望感と被害妄想が沸き起こって周囲の人々を罵倒するようになり、会社の上司はもちろん、両親さえも手に負えなくなってしまう。
何度検査を受けても、医師たちは「異常なし」と繰り返し、精神の病だと決めつける。必ず原因を究明すると決意した両親と、「絶対に治るから、一緒に頑張ろう」と誓ったスティーヴンが支え続けるが、次第にスザンナは手足が動かなくなり、全身が硬直し、口さえきけなくなってしまう。
あと3日間の観察で変化がなければ、精神科へ転院させると宣告する医師たち。期限が迫るなか、一人の医師がスティーヴンの“ある言葉”に突き動かされるのだが──。(公式HPより)
公式サイトあらすじ書き過ぎですよ。
80分の上映時間のうち、半分以上書いちゃってるじゃないですか。
でもあらすじを読むだけと、実際にスクリーンでクロエちゃんの演技を観るのとでは全然違いますから、そこはご心配なく。
いや、むしろ違いすぎてビックリしちゃうかも?
登場人物
クロエ・グレース・モレッツ / スザンナ・キャハラン
憧れのニューヨーク・ポスト紙で駆け出し記者として働く21歳。夢はいつか第1面を飾ること。ミュージシャン志望のスティーブンと付き合いはじめる。両親は離婚しているがスザンナとの仲は良好。順調な日々を過ごしていたが、突如原因不明の病に襲われる。
演じるのは、『キック・アス』『ダーク・シャドウ』『キャリー』のクロエ・グレース・モレッツ。今回は特にクロエの魅力であるブサかわ顔(誉め言葉)がたくさん出てきます。
なお、この映画はニューヨーク・ポスト紙の記者、スザンナ・キャハランの体験がベースになっています。
トーマス・マン / スティーヴン・グリウォルスキ
プロのミュージシャンを目指すスザンナの恋人。病に倒れたスザンナを献身的に支える。
演じるのは、『プロジェクトX』『ヘンゼル&グレーテル』『キングコング:髑髏島の巨神』のトーマス・マン。
リチャード・アーミテージ / トム・キャハラン
スザンナの父。妻とはすでに離婚し、新しいパートナーと暮らしている。スザンナへ盲目的な愛情を持っているが、病の原因がわからない現状に苛立ちを募らせる。
演じるのは、『ホビット』のリチャード・アーミテージ。
キャリー=アン・モス / ローナ・ナック
スザンナの母。夫とはすでに離婚し、新しいパートナーと暮らしている。スザンナのためなら何者にも屈しない新年を秘めているが、スザンナの奇行に対し途方に暮れている。
演じるのは、『マトリックス』『メメント』『ショコラ』のキャリー=アン・モス。
ジェニー・スレイト / マーゴ
ニューヨーク・ポスト紙で働くスザンナの同僚。記者としてのスザンナの才能を見抜き、気にかけている。
演じるのは、『ズートピア』『怪盗グルーのミニオン大脱走』『ギフテッド』のジェニー・スレイト。
タイラー・ペリー / リチャード
ニューヨーク・ポスト紙の編集長。マーゴの推薦で、スザンナにスクープ記事を担当させる。スザンナが回復した後に、体験記の執筆を提案する。
演じるのは、『プレシャス』『バーニング・クロス』『ゴーン・ガール』のタイラー・ペリー。
用語解説
この映画では、難しそうな名前の病名がいっぱい出てきたので、病名をいくつか調べてみました。わからなくても鑑賞に支障はありませんが、よかったらどうぞ。
抗NMDA受容体脳炎[Anti-NMDA receptor encephalitis]
体の中に外から脅威がやってきたとき、防御するシステムがおかしくなって自分自身を攻撃してしまう疾患。頭痛など風邪に似た症状で始まり、数日で幻覚や幻聴などの精神症状が表れる。けいれん発作や意識障害を伴い、昏睡(こんすい)状態に陥ることもある。自分の意思と無関係に体が奇妙に動く不随意運動も特徴的な症状だ。2007年に病気の仕組みが解明されるまでは「悪魔払い」されてきた病でもあった。
致死的な疾患である一方、治療により高率での回復も見込める疾患である。
ホラー映画の金字塔として有名な『エクソシスト』。この映画のモデルになった実在の少年は、抗NMDA受容体脳炎の典型的な症例だったと指摘されている。
双極性障害(躁うつ病)
双極性障害は、精神疾患の中でも気分障害と分類されている疾患のひとつ。気分が高まったり落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気。激しい躁状態とうつ状態のある双極Ⅰ型と、軽い躁状態(軽躁状態)とうつ状態のある双極Ⅱ型がある。
総合失調症
情報や刺激に過敏になりすぎ、精神機能のネットワークがうまく働かず感情や思考をまとめてあげることができなくなる状態。統合失調症とは、脳内の統合する機能が失調している状態のことをいう。幻覚や妄想などの「陽性症状」、意欲の低下などの「陰性症状」、臨機応変に対応しにくい「認知機能障害」に分けられる。
多重人格障害(解離性同一性障害)
自分が自分であるという感覚が失われてしまう状態の中で、自分の中にいくつもの人格が現れる状態のこと。本人にとって堪えられない状況を自分から切り離そうとするために起こる一種の防衛反応と考えられる。別の人格のときの記憶がないことが多く、生活面での様々な支障が出てくる。
病名じゃないんですが、映画の中でマーゴが「エド・マローもびっくりね」と言っててエド・マローについても。
エドワード・ロスコー・マロー
アメリカ合衆国のジャーナリストであり、ジャーナリストの手本として紹介される人物。
ワシントン大学で学び、1935年CBSに入社。1937年から1945年CBSヨーロッパ支配人。電撃戦中にロンドンから行った連日放送は、真珠湾以前のアメリカに戦争の恐怖をまざまざと感じさせた。戦後、赤がり旋風の中心人物マッカーシ上院議員を真っ向から批判し、失脚に導く。彼を題材にした映画も制作された。
『グッドナイト&グッドラック』
「赤狩り」の猛威が吹き荒れる1950年代のアメリカを舞台に、実在したニュースキャスターであるエドワード・R・マローとCBSの番組スタッフが、真実の報道のために「マッカーシズム」に立ち向かう姿を描いたノンフィクションドラマ。
ネタバレなし感想
この映画をひとことでまとめるなら、
タイトルとポスターに騙されるな!
これはホラーより怖いヒューマンドラマだ!
評価:★★★☆☆
やまぴー的には2017年度最高のホラーですよ。
『イット』や『ゲット・アウト』より全然こわかった。
なんですかコレは。完全に邦題詐欺じゃないですか。
ポスターについても、日本版はやけにマイルドです。
(※この記事の最後に海外版ポスターがあるので見比べてみてください)
予想してた内容とぜんぜん違いました。
「眠り姫」みたいなかわいらしいもの想像してたんですが、おそらくそれは同日公開された『8年越しの花嫁』のほうでしょう。登場する病気まで「抗NMDA受容体脳炎」になっているというすごい偶然。
「病に冒されたヒロインをまわりの家族が辛抱強く支えていく」ような話がメインだと思って観ると、しっぺ返しをくらいますよ。
この映画は2017年度版の『エクトシスト』です。「病に冒されたヒロインがおかしくなっていくのを、ハラハラしながら家族も観客も見守っていく」映画です。
感動シーンもありますが、感動で泣きたい人は他の映画観た方がいいです。だからといって、ホラー観たい人がこの映画観るのもちょっと違う気がしますが。
上映時間が80分しかないので、「スザンナどうなっちゃうの?」と見守ってるとアッという間に終わります。ある意味ジェットコースタームービーですね。やまぴー的には予想外に楽しめました。
東京でも一か所しかないという上映館少ないさが残念ですが、(ホラーが苦手じゃなければ)オススメですのでぜひ観てみてください。
クロエちゃんのブサかわいさ(褒め言葉)もたっぷり堪能できますよ。
余談ですが、医者の誤診って怖いね。
医者によって病名コロコロ変えられたら一般人は何を信じてよいのやら。
今回のテーマになってる「抗NMDA受容体脳炎」なんて、過去にどれだけ誤診があったのか考えるとホラーより恐ろしい。
最近グーグルの検索結果で、医療・健康に関するページは、一般人の記事より専門家の記事の方が上位表示されるように変更されました。
でもこの映画観たら「専門家でも信用できるの?」って思います。
※ここから先はネタバレありとなります。知りたくない人は映画鑑賞後にまたお会いしましょう。
いい?アタシは警告したからね!
映画観てからスクロールしろって言ってんだろ!
ネタバレあり感想
とにかくスザンナの奇行が怖いです。
はじめは「KY発言」とか、ソワソワしてミスが多い「ADHD(多動性行動障害)」とか、部屋がゴミ屋敷になっちゃう「汚ギャル」とか、軽い症状から始まります。
いや、この時点ですでに軽くないですが、どの職場にも一人はそういうヤツいるんじゃない?ぐらいのレベル。
スキャンダルを抱えた議員のインタビューで、「それでパンツも一緒に下ろしちゃったの?」と笑うお下品なクロエちゃんが拝見できます。
さらに症状が進行すると、職場でサンシャイン池崎な状態になったり。
「一度は職場で言いたい放題ブチまけてえなあ」と、社会人なら誰もが思いますが、実際にやったらどうなるか、たいへん勉強になります。
でもここの職場の人ってみんないい人だよね。
マギーはもちろん、ゴリラ上司も顔は怖いけど優しい。
やまぴーもニューヨーク・ポスト紙で働きたいです。
余談ですが、マギー役の人いいなあと思ったら『ギフテッド』の先生役の人でした。
そこから先は完全にホラーの世界です。
家族との食事中に、「いま悪口言っただろ?」とかいきなりキレたり。
普通に電車に乗って帰るだけのシーンでも、スザンナのイッちゃった表情と揺れるカメラワークのせいで、観てる方はハラハラしてしまいます。
台所に入ってフラフラしながら包丁引っこ抜いてオレンジを真っ二つに斬るシーンとか、明らかにこちらを怖がらせるためのシーンです。
ヒューマンドラマ描きたいならあのシーンはいらないよね。
家族も必死に支えるというよりは、けっこうワガママ言ってます。
スザンナが発症したときの応対が悪いと彼氏にキレる父親とか、かなり理不尽で彼氏が可哀そうになってきます。(でも後半で仲直り)
母親もスザンナを引き取って暮らし始めるけど、あまりの奇行に「私じゃ無理」とアッサリ諦めたり。
でもそういう行動のほうがリアリティあって好きです。
両親が「医者にもっとプレッシャーかけよう」と話し合ってるところとかすごい好き。
お医者さんサイドも別に頑張ってないワケじゃないんです。
でも男の医者が詐欺師っぽい顔してるから悪者サイドに見えてしまいます。
医師のひとりであるカーン先生が、付きっきりで看病している彼氏に「頑張ってるわね」って声をかけたら、彼氏から「アンタ等が頑張ってないからだろ」と言い返されるシーンはちょっと可哀そうでした。
励ましたのにディスられるなんて。
ただ、そこから事態は急展開。
ハッパをかけられたカーン先生が、恩師であるナジャー先生に頼み込んでスザンナを検診してもらいます。
スザンナに時計の絵を描かせると左側に数字を描かないことから、右脳が損傷していることに気づき、「抗NMDA受容体脳炎」であることを突き止めます。
ほとんど身体が硬化して動かないスザンナに、ナジャー先生が
“I found you”(あなたを見つけた)
と語りかけるシーンはこの映画の最大の山場です。
やまぴー的には、父親のトムが彼氏のスティーヴンに「キツいこと言ってごめんな」と謝るシーンも結構な山場でした。
そして治療して、リハビリして、職場復帰して、ゴリラ上司に「闘病記書け」と言われてハッピーエンド。
病名がわかってからはアッと言う間の展開で気づけばエンドロールです。
やっぱり医者にプレッシャーをかけるのが一番の近道ってことですね。
(※個人の感想です。)
思っていた内容とは全然ちがいましたが、その変化球が予想のナナメ上の衝撃だったので、映画館で観る価値は十分でしたね。
彼女が目覚めるその日まで
Brain on Fire: My Month of Madnessキャスト
クロエ・グレース・モレッツ / スザンナ・キャハラン
トーマス・マン / スティーヴン・グリウォルスキ
リチャード・アーミテージ / トム・キャハラン
ジェニー・スレイト / マーゴ
キャリー=アン・モス / ローナ・ナック
タイラー・ペリー / リチャード
アレックス・ザハラ / アレン
ジェン・マクリーン=アンガス / ジゼル
ケン・トレンブレット / 上院議員
ナビド・ネガーバン / ナジャー医師
ロバート・モロニー / ライアン医師
アガム・ダーシ / カーン医師
ジャネット・キダー / シスキン医師
ビンセント・ゲイル / サムソン医師監督 ジェラルド・バレット
製作 A・J・ディックス、ベス・コノ、シャーリーズ・セロン、リンゼイ・マカダム、ロブ・メリリース
製作総指揮 リサ・ウォロフスキー、ダニエル・ハモンド
原作 スザンナ・キャハラン
脚本 ジェラルド・バレット
撮影 ヤーロン・オーバック
美術 ロス・デンプスター
衣装 ファルナズ・カーキ=サディグ
編集 JC・ボンド
音楽 ジョン・パエザーノ