アメリカ映画なのにジワジワくるホラーの傑作 映画『ゲット・アウト』ネタバレあり感想

ゲットアウト

 

こんにちは、やまぴーです。

本日ご紹介する映画はこいつです。

 

『ゲット・アウト』予告編

 

黒人男性クリスが白人の彼女ローズの実家に招待され、感じた違和感

” 何 か が お か し い “

映画界の常識を覆すサプライズ・スリラーが終に日本上陸!

っていうか「サプライズ・スリラー」ってなんですか?

 

いつものように、あらすじと監督&登場人物、そしてネタバレなし/ありの感想ふたつです。

 

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あらすじ

ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、ある週末に白人の彼女ローズ実家へ招待される。若干の不安とは裏腹に、過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚える。その夜、庭を猛スピードで走り去る管理人と窓ガラスに映る自分の姿をじっと見つめる家政婦を目撃し、動揺するクリス。
翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティに多くの友人が集まるが、何故か白人ばかりで気が滅入ってしまう。そんななか、どこか古風な黒人の若者を発見し、思わず携帯で撮影すると、フラッシュが焚かれた瞬間、彼は鼻から血を流しながら急に豹変し、「出ていけ!」と襲い掛かってくる。
“何かがおかしい”と感じたクリスは、ローズと一緒に実家から出ようするが…。(公式HPより)

 

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監督&登場人物/キャスト

監督・脚本・製作/ジョーダン・ピール
監督・脚本を務めたのは、アメリカのお笑いコンビ“キー&ピール”のジョーダン・ピール。今回の『ゲット・アウト』が監督デビュー作になるんだとか。コメディアンがホラー映画の監督って驚きですね。でも、前に楳図かずお先生が「恐怖と笑いは本質的に同じ」って言ってたから、むしろ向いてるのかもしれません。

 

クリス・ワシントン/ダニエル・カルーヤ
ゲットアウト

本編の主人公。白人の彼女ローズの実家へ招待され、そこに住む家族や隣人に奇妙な違和感を感じる。黒人のブラザーたちへの挨拶シーンで、ことごとく肩すかしを食わされるところがやまぴー的にかなり好き。
演じるのは、『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』『ビトレイヤー』『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』『ボーダーライン』などに出演、次回作は『ブラック・パンサー』で、ハリウッドでの活躍も期待されているダニエル・カルーヤ

 

ローズ・アーミテージ/アリソン・ウィリアムズ
ゲットアウト

クリスの恋人。クリスを愛してはいるが、彼が黒人であることを伝えずに親に紹介しようとした危なっかしい娘。
演じるのは、ミュージカルでは高い評価を得て、スキンケア・ブランド”シンプル“、スニーカー・ブランド”ケッズ“のモデルとしても活躍しているアリソン・ウィリアムズ

 

ゲットアウト

ディーン・アーミテージ/ブラッドリー・ウィットフォード

ローズの父、神経外科医。娘の彼氏が黒人でも温かく迎える。
演じるのは、「ザ・ホワイトハウス」でジョシュ・ライマン役を演じて人気を博し、2001年プライムタイム・エミー賞を受賞したブラッドリー・ウィットフォード

 

ミッシー・アーミテージ/キャサリン・キーナー

ローズの母、精神科医。クリスの禁煙のため、催眠療法を薦める。
演じるのは、『マルコヴィッチの穴』で1999年アカデミー賞にノミネート。『40歳の童貞男』で大ブレイクし、『カポーティ』でネル・ハーパー・リー役を演じて再び2005年アカデミー賞にノミネートしたキャサリン・キーナー

 

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ネタバレなし感想

この映画の感想をひとことで言うならば、

 

アメリカ映画のくせにジワジワくるナイスホラー
観たあとにストーリーを思い出すと2度楽しめる!

 

ふたことになってますが、はっきり言ってかなりの良作です!

アメリカのホラー映画って、いきなり背後から“ドギャン!”って襲いかかったりする「怖いというよりビックリする」映画ばかりだと思ってました。
(それはそれで面白いんだけど)

この「ゲット・アウト」でも、”ドギャン!”といったおなじみの効果音の使い方はあるものの、メインの恐怖はジワジワとやってくる違和感

なんかおかしいな?
引き返したほうがいいのかな?

って気づいたときにはもう…

文字に起こすと稲川淳二みたいですが、この手のジワジワくる怖さのホラーも作れちゃうからやっぱアメリカってすごい。

しかも「サプライズ・スリラー」と銘打ってるだけあって、ビックリな展開がかなり連続でやってきます。

ここまでの仕掛けを用意したピール監督はお見事!
ホントに初監督なんですか?

ゲットアウト

 

予告編を観たときに、主人公が人種差別的な恐ろしい仕打ちを受ける映画かと思ってましたが、そんな浅はかな予想を軽く覆す展開でしたね。
米映画レビューサイトで99%大絶賛の評価だっただけはあります。
しかも低予算っていうんだからホントに中身のストーリーがしっかりしてる証拠でしょう。

あとでストーリー思い出すと、「なるほど、だからあのときはああいう行動したのか」っていう納得がたくさんあって、映画館出たあとの帰り道も存分に楽しめちゃいます。

 

これは滅多にお目にかかれない名作です。
友達からネタバレされる前に、はやく映画館へ行ったほうがいいですよ。

ネタバレなし感想は以上です。

 

※ここから先は、ネタバレありとなります。

この映画観る予定の人は見ないでください!

観る予定のない人は観る予定入れてください!

つまり、観た人だけ先に進んでくださいってことです!

 

 

 

はい、警告はしましたからね。

 

 

ゲットアウト

キーはあるけど渡せないからね。

 

まずはネタバレありであらすじを箇条書き

 

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ネタバレありあらすじ

(イントロ)夜道を歩いている黒人が何者かに車で誘拐される
黒人青年のクリスが白人の恋人ローズ実家へ挨拶へ行く
クリスはローズが親に自分が黒人だと伝えていないことを気にする
留守中のペットの世話を友人のロッドに頼む
ローズの実家へ向かう途中、車の前に飛び出した鹿撥ね殺してしまう
クリスへ免許証の提示を求める警官にローズが「彼は関係ない」と拒否する
クリスはローズの父ディーン、母ミッシーから温かく迎えられる
夕食時にローズの弟ジェレミーから黒人の身体的優位性を指摘される
黒人の使用人ジョージーナウォルターの態度がどこかおかしいことに気づく
夜にミッシーから催眠術をかけられ、死んだ母親のことを思い出す
翌朝、禁煙の催眠術をかけられたことがわかる
ローズ家でパーティがはじまるが、白人ばかりのため気が滅入る
ジョージーナにスマホの充電を抜いてしまったことを謝罪される
ジョージーナに暮らしを尋ねると笑顔で涙を流しはじめる
黒人の招待客だったローガンに話しかけるが態度がおかしいことに気づく
ローガンを撮影しようとフラッシュを焚くローガンは鼻血を出す
ローガンは「出ていけ!(GET OUT)」とクリスに殴りかかる
ミッシーの診療室で休憩したローガンは元に戻り、自宅へ帰る
クリスはローズと散歩に出かけ、今夜中に実家を離れることを決意する
一方、パーティではクリスの人身売買オークションが開かれる
出発前、クリスがローズの部屋で小箱を見つける
小箱には様々な黒人男性、さらにはジョージーナと写ってるローズの写真がある
家から逃げ出そうとするもローズに裏切られ催眠術をかけられ地下室
地下室の映像から、自分が脳移植の肉体として連れて来られたことを知る
ロッドが異変に気づき警察へ届け出るも相手にされず
ロッドローズに電話をかけるが、尻尾を出さずやりこめられる
ジェレミーが気絶したクリスを運び出そうとしたところを反撃して脱出する
クリスは拘束されていたソファの綿を耳栓にして催眠術から逃れていた
ディーンを剥製の鹿の角刺し殺す
ミッシーからティーカップを取り上げ撃退
ジェレミーに襲われるも2手3手先を読み柔道でKO
車で逃げる最中にジョージーナ撥ねてしまい助手席へ
ジョージーナの正体であるローズの祖母に襲われる
車は大木に激突し、ジョージーナ(祖母)は死亡
ウォルターの正体であるローズの祖父に襲われる
ウォルターへ向けてスマホのフラッシュを焚く
ローズから銃を受け取ったウォルターは、クリスではなくローズを撃つ
さらにウォルターは自身へ銃口を向けて自殺
クリスが息のあるローズにとどめを刺そうとするがパトカーが到着する
パトカーへ両手を上げるクリス、中から出てきたのは友人のロッド
帰りの道中、ロッドから「だから行くなって言っただろ」と言われる

 

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ネタバレあり感想

ネタバレなしでも言いましたが、やっぱり名作です。

2階へ上がったクリスを白人たちが一斉に見上げるシーンは気持ち悪かったなあ。

クリスの喫煙を気にすると思ったら、商品価値を下げないためだったとは。

ジョージーナの泣き笑いも、「実は虐待されてるけど言えない」ぐらいに考えていたんですが、まさかローズの祖母の人格と”沈んだ床“のジョージーナ自身の人格のせめぎ合いだったとは。

ゲットアウト

役者さんってすごいな。

クリスの人身売買オークションのシーンを観たときに、「急にクリスたちが戻ってきたらどうすんだ?」って思いましたが、ローズもグルだったら急に戻っても連絡入りますもんね。鋭い人はこのへんで気づいてるんでしょう。やまぴーは鈍いんで気づきませんでしたが。

観終わったあとに「なるほどね!」って思い返せるシーンが多いのが、ゲット・アウトの魅力です。

 

そしてホラーには欠かせない緩衝剤、お笑いシーンもけっこう面白かったです。
以下、とくに笑えたシーンをご紹介します。

笑えたシーン

1.ロッドの役に立たないっぷり

警察へ行って「黒人が性奴隷にされている!」と叫んでみたり、ローズとの電話で尻尾をつかむつもりが逆上して電話切っちゃうとか、もう役に立たないことこの上なし。
口を開けば「アイズ・ワイド・シャット」がどうとか「ジェフリー・ダーマー」がどうとかうるせえよ。実際に友達に欲しいぐらいです。

余談ですが、この映画のエンディングは当初「クリスがパトカーでやってきた警官に殺人容疑で逮捕される」というものでした。しかし、実際のアメリカ社会で、警官による不当な黒人射殺事件が相次いだため、現在のエンディングに変更なったんだとか。
どちらのラストが良かったかの議論はさておき、当初のままだとロッドは本当に役立たずで終わるところでしたね。

 

2.ブラザーたちのあいさつの肩すかしっぷり

よおブラザー!」とクリスが勢いよく出した拳をローガンが包み込むように握手。いやいやいや、オバマだって知ってるブラザーのあいさつですよ。
ゲットアウト

 

ちなみに作中で「ブルックリン出身だったローガンがあんな恰好するなんて」というセリフがありますが、ブルックリンのブラザーたちはこんな恰好してます。
ゲットアウト

黒人の肉体には興味あるのに、カルチャーには無理解ってところがシニカルです。

 

3.ミッシーのコーヒーカップ

スプーンを2回“チンチン”って鳴らしただけで気絶するクリス。衝撃のシーンでしたがむしろ笑えました。地下室から脱出したクリスとの対決でも、武器になるのがテーブルのコーヒーカップだなんて。普通の映画なら銃が置いるとこですよ。

ていうかこの母親が強靭な黒人女性の肉体持ってたらもう最強だったね。

 

4.鹿の角アタック

観た人全員が「あーそんな伏線だったのねー」と思ったシーン。クリスよ、なぜ頭ごと持ってきたんだ?角だけ折ればよかったじゃないのか?
いや、それ以前に他の武器はなかったのか?

 

5.ローズのターゲット探し

シリアル食いながらアグラかいて、身体能力高い黒人を画像検索してるシーンは、キモいながらも笑えます。ググって相手探して関係作って4か月後には実家に連れてくるんだから大した女ですよ。
っていうかやってることは「後妻業の女」と一緒だよね。

 

一方、名作ながら残念なところもチラホラ。取るに足らないことですが、残念だったポイントも。

残念だったシーン

1.精神が入れ替わる説明が微妙

催眠術かけて脳みそ取り替えるだけで憧れの黒人ボディが手に入るものなんでしょうか。映画の主題に絡んでる部分なので、もうちょっと作り込んだ設定だと良かったかなあ。

 

2.小箱のなかのローズの写真

ターゲット泊めてる部屋にしては無防備すぎるんじゃないでしょうか。せめて鍵をかけるとか。そもそも写真は地下室でいいじゃん。地下室もなんで監視カメラないのか気になりましたが、ジェレミーだとカメラあっても見なそう。

 

3.彼氏の父親が好意的

人種どうこうがなくても、彼女の父親には理由もなく目の仇にされるものです。経験した男性も多いのではないでしょうか。やまぴーも経験してます。あんなウェルカムで迎えられるなんてありえません!勘の鋭い男ならこの時点で気づきますね!

 

以上、名作なだけにあえて残念な点を挙げさせていただきました。

 

一番怖かったシーン

最後にやまぴーが個人的に一番恐ろしかったシーンをひとつ。

それはロッドが警察へ行ってクリスの誘拐を訴えるシーンです。

ゲットアウト

必死に誘拐を訴えるロッドに対して、わざわざ同僚まで呼んで笑い出す。

映画では笑えるシーンだけど、現実で警察へ駈け込んでいっても相手にしてもらえなかったら…、と考えると恐ろしいですね。

実際に警察が事件性に気づかずに手遅れになった事例もありますし。

 

やっぱ彼女の実家なんて行くモンじゃないですね。

 

『だから行くなって言っただろ』

 

でも映画館へは行ったほうがいいですね。

 

◆こちらもオススメ

 

ゲットアウト

『ゲット・アウト』
[Get Out]

キャスト
ダニエル・カルーヤ – クリス・ワシントン
アリソン・ウィリアムズ – ローズ・アーミテージ
キャサリン・キーナー – ミッシー・アーミテージ
ブラッドリー・ウィットフォード – ディーン・アーミテージ
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ – ジェレミー・アーミテージ
リル・レル・ハウリー – ロッド・ウィリアムズ
キース・スタンフィールド – アンドリュー・ローガン・キング
ベティ・ガブリエル – ジョージーナ
マーカス・ヘンダーソン – ウォルター
スティーヴン・ルート – ジム・ハドソン

監督 ジョーダン・ピール
脚本 ジョーダン・ピール
製作 ジェイソン・ブラム、ショーン・マッキトリック、エドワード・H・ハム・Jr.、ジョーダン・ピール
製作総指揮 レイモンド・マンスフィールド、クーパー・サミュエルソン、ショーン・レディック、ジャネット・ボルトゥルノ
音楽 マイケル・エイブルス
撮影 トビー・オリヴァー
編集 グレゴリー・プロトキン
製作会社 パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ,ブラムハウス・プロダクションズ、QCエンターテインメント
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ、東宝東和

映画・本
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