こんにちは、やまぴーです。
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映画『ザ・サークル』本予告 11月10日(金)公開
「いいね!」のために、生きている。
現代を生きるすべての人々に問いかける、驚愕のサスペンス・エンタテイメント
嘘も隠し事もない世界は、本当に理想郷《ユートピア》か。
むかし、グーグルで派遣社員として働いたこともある(そして期間満了前に切られた)やまぴーが、今回はこの映画をアナリティクスします。
まずはあらすじとキャスト、そして感想はネタバレなし/ありのふたつです。
あらすじ
世界No.1のシェアを誇る超巨大SNS企業〈サークル〉。創始者でありカリスマ経営者のベイリー(トム・ハンクス)が掲げる理想は、全人類がすべてを隠す事なくオープンにする”完全な”社会だ。大きな輪を意味する〈サークル〉では、誰もがいつでもつながりあい、互いの体験をシェアしあい、最高に刺激的な毎日を送ることができる。
憧れの最先端企業〈サークル〉社に採用され、日々奮闘する24歳の新人・メイ(エマ・ワトソン)は、ある事件をきっかけにベイリーの目に留まり、新サービス〈シーチェンジ〉の実験モデルに大抜擢される。至るところに設置された超小型カメラにより自らの24時間をすべて公開したメイは、あっという間に一千万人を超えるフォロワーを獲得し、アイドル的な存在となる。ベイリーの理想「全人類の透明化」を実現するため、更なる新サービス〈ソウルサーチ〉の公開実験に臨むメイ。だがそこには思わぬ悲劇が待ち受けていた。あまりにも膨大な善意の渦に隠された〈サークル〉の重大な欠陥に気付き始めるメイだったが——。
「24時間行動を公開」っていわれると、どうも「進め!電波少年」が思い浮かんでしまうんですよね。当時は「プライバシーなんてどうでもいいからテレビに出たい!」という若手芸能人からのオファーが殺到していたらしいです。
また映画のジャンルでいえば、生まれたときから24時間テレビ中継され続けるという(しかも盗撮)、名作『トゥルーマン・ショー』も思い出されます。
あれはすごい映画だったなぁ。
キャスト
エマ・ワトソン – メイ・ホランド
超巨大SNS企業「サークル」へ入社したグッピー(新人)。隠し事のない社会の実現のため、超小型カメラ「シーチェンジ」による自分自身を24時間公開する実験モデルとなる。
やってることはエッチなサイトのチャットレディと変わらない気がするんですが…。個人的にはそういうフォロワーの増やし方は認めません。
演じるのは、『ハリー・ポッター』『美女と野獣』のエマ・ワトソン。
『美女と野獣』はおもしろかったなあ。
トム・ハンクス – イーモン・ベイリー
「サークル」のCEO。全人類が隠し事なくオープンに繋がる「全人類の透明化」を目指し、メイを利用する。
演じるのは、『フォレスト・ガンプ』『アポロ13』『ダ・ヴィンチ・コード』『ハドソン川の奇跡』のトム・ハンクス。
ジョン・ボイエガ – タイ・ラフィート/カルデン
「サークル」の凄腕エンジニア。サークルの思想を危険視し、動向を見張っている。
演じるのは、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』『パシフィックリム/アップライジング』(18)のジョン・ボイエガ。
カレン・ギラン – アニー・アラートン
メイを「サークル」へ誘った友人。重要なポストを担いながら、日々激務に追われている。
激務に翻弄される躁鬱っぽい振る舞いは、観ていて他人事とは思えません。この映画で一番好きなキャラでした。
演じるのは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ、『マネー・ショート 』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18)のカレン・ギラン。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/リミックス』もおもしろかったなあ。
エラー・コルトレーン – マーサー
メイの幼馴染み。田舎暮らしで「サークル」の活動については懐疑的。
演じるのは、『6才のボクが大人になるまで』のエラー・コルトレーン。
ビル・パクストン – ヴィニー・ホランド
メイの父。多発性硬化症(MS)に苦しんでいる。
演じるのは、『ターミネーター』『エイリアン2』『タイタニック』『アポロ13』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『ナイトクローラー』のビル・パクストン。2017年2月、心臓病の合併症のため61歳で急逝。映画のエンドロールでは「ビルへ捧ぐ」と彼を偲ぶメッセージあり。
ネタバレなし感想
この映画の感想をひとことで言うならば、
この映画を作った人はグーグルやフェイスブックに恨みでもあるのか?
です。
サークルのモデルって「グーグル」+「フェイスブック」?
あるいはめっちゃ「Google+」が流行ってる世界?
どっちでもいいですが、この設定はさすがにないわ。
そもそも「シェア」と「プライベート垂れ流し」は違うと思うんですが。
エマ・ワトソンの24時間なら金払ってでも見たいですけど、これが知らないオッサンの寝顔や歯磨きの姿だったら金貰っても見たくないです。
そりゃエマ・ワトソンの寝顔なら見たいですよ。
いや、たとえエマ・ワトソンでもコーラ飲んだゲップの音とかイヤだな。
え、イヤじゃない?むしろウェルカム?
いや、今はこの議論は止めましょう。
話を戻しますが、こっちが必要ないものシェアされても困ります。
もっとキュレーションすべきだと思います。
シェアする情報の精査もお願いします。
エマが「肩こりがひどいけど霊のしわざかしら」とか言い出したらどうすんの?
本人は24時間姿晒してもいいかもしれませんが、周りにいてカメラに映った人からクレームきたらどうすんの?
グーグルのストリートビューにだって顔と表札にはモザイク入ってるよ。
と、山ほどツッコミたいことが出てきてしまい、あまり映画に没入できなかった…。
物語中盤からは、「サークル」の思想がさらに過激になっていくんですが、なぜ社内の誰も止めようとしないのか不思議です。
世界No.1シェアの会社なのに法務部はないのか?
実社会だったら途中で訴えられてCEO解雇させられるはずです。
あと関係ないですが、「隠し事をしない」んなら検索で上位表示されるアルゴリズム教えてください。
ラストのオチも「え、それだけ?」程度だったので、かなり消化不良です。
唯一よかったのは、メイをサークルに誘ってくれた友達のやつれた顔と、その友達を論破したときのメイの悪人顔はよかったです。
ってそれだけかい。
ってことで、今回の『ザ・サークル』はあまりオススメできない映画でしたね。
以下、ネタバレ感想で理由を詳しく述べていきます。
※ここから先は、ネタバレありとなります。
今回はこのまま進んでもらってもいいかなあ。
ネタバレあり感想
さて、ここからはネタバレありで『ザ・サークル』が「ひどいね」だった理由を考えます。やまぴーとしては、「作品の中身」と「作品の外側」のふたつに理由があると思います。
ダメな内部的要因
やはり脚本のひどさが一番のダメ原因でしょう。
話の冒頭の超小型監視カメラ「シーチェンジ」を町中に仕掛けるとかの時点でアウトでしょう。
ネタバレなしにも書きましたが、「溺れているところを見つけてくれたから助かった」だから「私の24時間を公開します」っていうのが繋がってないです。「安全性」の話と「シェア」の話がごっちゃになってます。
「20分で相手を見つける」っていう「ソウルサーチ」も、SNSのネットワークだと厳しい気がします。田舎なんて、普通に会いに行くだけでも30分掛かったりするんですよ。限界集落ですぐ見つけられる人は、イケダハヤトみたいな有名人だけです。
ていうか「一般人探そうぜ」の時点でだれか止めるでしょ。
ほかにも、偶然話した相手が伝説のエンジニアで、なぜか根拠もなく「君なら信じられる」とサークルの秘密を教えてもらえる、とかご都合主義すぎる気がします。
正直、プライベートの完全公開も、上で紹介した「トゥルーマン・ショー」のほうが衝撃でした。1998年の映画に負けちゃいかんと思います。
ダメな外部的要因
やまぴーの持論ですが、作品自体のほかにも残念な理由が3つあったと思います。
「いいね!」のために、生きてない
おそらく、『「いいね!」のために、生きている。』っていうは、日本の配給会社が日本で売り込むために勝手に考えたキャッチではないでしょうか。
メイが目指していたのは「隠し事のない世界」であり、「いいね!」の獲得のためではないです。顧客満足度の100点は狙ってましたが。
「いいね!」を狙うっていうのは、どちらかというと素の自分を盛って盛って演出する虚構の世界です。
みなさんもやってるからわかりますよね?
この映画のテーマと「いいね!」はむしろ相反してます。
参考までに、本国のキャッチは以下のとおり。
KNOWING IS GOOD.
KNOWING EVERYTHING IS BETTER.
「いいね!」どうこうを期待して観ると肩すかしを食らいます。
事情通のブロガーたちに酷評される
扱っているテーマのために、SNS事情に詳しいブロガーたちから厳しめの評価を受ける定めにあります。「2049年の人造人間の話」とか「殺人ピエロの話」ならブロガーたちも知らないから、ゴマカすこともできたのに。
メッセージの英語がわからない
やまぴーのような語学力のない人間向けの話ですが、スクリーンにポコポコ登場するメッセージの意味がわかりません。字幕読むので精一杯です。あれが日本語だったらSNSの臨場感が伝わってもっと楽しめたかも。っていうかサークルのサービスで翻訳ぐらいしてくださいよ。
ということで、扱ってるテーマ自体は旬なだけにいろいろと残念なところが目立った映画でした。
でも、サークルの仲間の勧誘や、社内活動などは、むかし本で読んだ「テクノロジーが進み過ぎるとコミュニティが小さくなる」というテーマを思い出せてくれて面白かったです。
また5年後、いやwebは進歩早いから2年後に、別の切り口でこういう映画を見たいかな。
◆こちらもオススメ
『ザ・サークル』
[The Circle]キャスト
エマ・ワトソン – メイ・ホランド
トム・ハンクス – イーモン・ベイリー
ジョン・ボイエガ – タイ・ラフィート/カルデン
カレン・ギラン – アニー・アラートン
エラー・コルトレーン – マーサー
パットン・オズワルト – トム・ステントン
ビル・パクストン – ヴィニー・ホランド
グレン・ヘドリー – ボニー・ホランド
プールナ・ジャガナサン – ジェシカ・ヴィラロボス博士
ネイサン・コードリー – ダン
ジミー・ウォン – ミッチ
エレン・ウォン – レナータ
ジュディ・レイエス – サントス
アンドレア・ブルックス – スカイ監督 ジェームズ・ポンソルト
脚本 ジェームズ・ポンソルト
デイヴ・エガーズ
原作 デイヴ・エガーズ『ザ・サークル』
製作 ゲイリー・ゴーツマン、アンソニー・ブレグマン、ジェームズ・ポンソルト、トム・ハンクス
製作総指揮 ステファニー・アズピアズー、ロン・シュミット、サリー・ウィルコックス、スティーヴ・シェアシアン、エヴァン・ヘイズ、ピーター・クロン、マーク・シュミューガー、フェデリカ・セント=ローズ、ラッセル・レヴィン
音楽 ダニー・エルフマン
撮影 マシュー・リバティーク
編集 リサ・ラセック
製作会社 イメージ・ネイション、プレイノート、ライクリー・ストーリー、IMグローバル
配給 ヨーロッパ・コープ、STXエンターテインメント、ギャガ