【雑記】防犯ブザーを子供に出されてムカついた話

防犯ブザーを子供に出されてムカついた話

 

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防犯ブザーを初めて見た

防犯ブザーというものをご存じでしょうか。不審者に襲われそうになったらボタンを押して大音量で周囲に危険を知らせる防犯グッズです。

 

 

やまぴーが子供のころはこんなグッズありませんでした。物騒な時代になったのでしょうか。子供に防犯ブザーを持たせる保護者もけっこう多いとか。無償配付している学校や自治体もあるそうです。

そんな防犯ブザーを、偶然ですが見かける機会がありました。

 

その日、やまぴーはいつものように通っているスポーツクラブへ行くために、クラブがある建物の入口でエレベーターを待っていました。ドアが開いたエレベーターの中には、先客として小学生くらいの女の子がひとり。やまぴーもエレベーターに乗り込みます。

エレベーターが目的階へ着くまで、中にいるのはやまぴーと子供だけ。すると子供は自分のカバンの中に手を入れると、あるものを取り出しました。そう、『防犯ブザー』です。保護者か学校の先生から「何かありそうなときは防犯ブザーを準備しなさい」と教わっているのでしょうか。

なるほど、最近の子供はちゃんと教育されてますね。

 

ってちょっと待て。
オイ。

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防犯ブザーにムカついた

「何かありそうなときは防犯ブザーを準備しなさい」と教えられている子供がやまぴーの前で防犯ブザーを出す。それはやまぴーを不審者扱いしてるってことですかね。ロリコン犯罪者予備軍だと思ってるわけですかね。

おいおい、ふざけんなよッ!

おいクソガ…もといお嬢さん、やまぴーが何したっていうんですか!?
一緒にエレベーター乗ってただけでしょうが。
しかも十分に距離を開けて、話すどころか目も合わせてないでしょうが。
それでも不審者扱いですか。
すッッげえ気分が悪りぃんですけどッ!!

こうした本音、つまり『同じ境遇の男性ならば誰もが感じる理不尽な扱いに対する嫌悪』を口に出そうものなら、世間から叩かれまくります。「じゃあアナタは子供が危険な目に遭ってもいいって言うんですかッ!!」と大炎上です。

いやいや、「ガキがどうなってもいい」なんて言ってないでしょ。思っててもこんなところで言いませんよ。アンタの憶測で話を進めんなですよ。犬のクソみてえな戯れ言を……おっと、言葉が下品すぎましたね。訂正します。ワンちゃんのウンチみたいなことを言わないでください。そんなに心配ならいつも首から防犯ブザー下げさせてくださいよ。

非難されないとしても、同情どころか「見た目がヤバいからでしょ草」と容姿イジりをされるワケです。こんなことを女性が言われたら訴訟モノですが、男が言われても笑い話です。男は傷ついても耐える以外の選択肢はありません。それが現代の日本です。男性の自殺率が高いワケです。

模範的市民として慎ましく暮らす成人男性に対して「お前は不審者予備軍だ」といきなり突き付けられる防犯ブザー。これに腹が立たない男性がいるでしょうか。やまぴーのように人類愛あふれる教養豊かな紳士ならば、多少の無礼も受け流せます。しかし、怒り出す男性もいるでしょう。というか、言わないだけで心の中では皆イラッとしてるでしょう。

このままでは『防犯ブザーが不要なトラブルを引き起こす』という本末転倒な事態になりかねません。すべての人々が平穏に過ごせるように、いま一度安全な防犯ブザーの出し方を検討すべきです。

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防犯ブザーとご一緒に

『トラブルを起こさない安全な防犯ブザーの出し方』とは何か。それはちょっとした『ひと言』を添えることです。防犯ブザーを出す前に、以下の例文のような軽いひと言があれば、言われた側も了承してくれるはずです。

 

『よお旦那、いい天気ですねぇ。旦那のお人柄みてえにカラッと晴れてやすよ。今日はエレベーター乗ってどちらまで行かれるんですかい?ほぉ、スポーツクラブですか。プライベートに身体を鍛えるなんざ、日本男児の鏡じゃねえですか。近頃の野郎どもときた日にゃあ、ヒマなときゃあビール片手にテレビ見てるのが関の山ですぜ。あるいはシケモク吹かしながらパチンコやってるか。あとはファンザ、もしくはカリビアンコム。そんなダメンズどもが巷にゃあ溢れかえっちまってるてぇのに、旦那はスポーツクラブで身体を鍛えてるってんだからシビれちまうねぇ。
アタシが見たところ、旦那は今でも十分に、今風でいやぁソフトマッチョとか言うんですかい、そういったナイスバディじゃねえですかい。こっからさらに鍛えてどうするつもりですかい。とっくの昔からモテてるでしょうに。いやいや、謙遜はいりやせんヨ。旦那がモテモテだってこたぁ、エレベーターがチンと開いて旦那をひと目見たときから分かってまさぁ。ご自分じゃあ気づいてねえのかもしれませんが、男の色気ってヤツがムンムンと漂ってますぜ。つっても女衒のヒモ男が出してるような安物のコロンみてえな色気じゃあねえ、人生の修羅場をくぐり抜けてきた本物の男だけが出せる色気でさぁ。旦那の色香にあてられた日にゃあ、夜鷹だって未通女みてえにモジモジしちまう。とんでもねえ、こりゃ令和のドンファンだ。いや、紀州のジジイじゃあねえですよ。スペイン産のモノホンのドンファンでさあ。
今でも男前だってのに、さらにスポーツクラブで身体を鍛えてイケメンになるってんですかい。旦那がこれ以上カッコよくなっちまったら、とんでもねえことになりやすぜ。世の女どもが旦那を一目見てえって、スポーツクラブになだれ込んで、押しくら饅頭の大騒ぎだ。アンタどきなさいよ!いやアンタこそどきなさいよ!って、女どもが髪の毛ふん掴んで頬を引っ掻いてのキャットファイトが、そこらじゅうで開始でさあ。うっかり旦那と目が合っちまった女は、幸せで泡吹いて気ィ失っちまいますぜ。まさに「目の毒」たぁ旦那のこと。過ぎたるは何とやらでさぁ。ほんでもって、泡拭いた女は翌日から嫉妬の嵐、他の女どもから村八分にされて散々な目に遭うって寸法でさあ。ああ見えてオンナってのは怖えぇ生きモンですからね。くわばらくわばら。
旦那がもっとイケメンになっちまったら、ジャニーズかEXILEにスカウトされちまう日も遠くねぇですよ。おおっといけねえ。あんなヒヨッ子どもと旦那を比べるなんざ、逆に失礼ってもんだ。虎とイタチを比べる馬鹿がどこにいるんだって話でさぁ。ホメてるつもりがディスっちまった。日本語ってやつぁ難しいわ。加えてアタシにゃ学もねえ。知らねえ言葉はすぐにググるようにしてるですがね。旦那、気分を悪くさせちまってスンマセン。アタシみたいなモンが旦那のご機嫌を損ねるなんざ、天地がひっくり返ってもあっちゃならねえ。どうかこの通り、アタシのことを許しておくんなまし。
いやいや旦那、分かってます。分かってますヨ。旦那がこんなチンケなことで気分を損ねるようなお人じゃねえってことは。でっけぇ器を持ったお人だってことは、アタシだって十分に分かってます。旦那がお釈迦様みてえにでっけぇお人だってこたぁ、海の水がしょっぺえぐれぇ当たり前に分かってます。でもね旦那、アタシは万が一だって旦那の笑顔を曇らせるような真似はしたくねぇんですよ。アタシのせいで旦那がご機嫌ナナメにでもなっちまったら、アタシゃ夜も眠れませんぜ。死んでも死にきれませんぜ。ご先祖様にも顔向けできねぇ。旦那のご機嫌を損ねるってこたぁ、アタシにとってそれぐれえ罰当たりなことなんですよ。だから旦那がつまらねえことで腹を立てねえお人だって分かってても、ついメンゴメンゴって頭を下げてエクスキューズしちまうんでさぁ。これもひとえに旦那を思ってのこと。どうかアタシの気持ち、分かってやってくだせえ。
ただ、そのう……そんな旦那にですねェ、えっと、なん…てぇか………うん、お願い…って言やあいいんですかね…………実は…お赦しを乞いてえことがありやして………いや、いやいやいや、こんな失礼な話、お願いだろうが何だろうがあっちゃならねぇ。いいワケがねえ。すぃやせん旦那、何でもねえです。忘れてくだせえ。記憶のリセットボタンをポチッとお願いしやす。旦那にゃあご機嫌でいて欲しいって言ったばかりだってぇのに。それを舌の根も乾かねえうちに。アタシはトンでもねえ馬鹿をやっちまうところでしたよ。とんだ二枚舌のキツネになるところでやした。止むなくとはいえ、旦那に向かってこんなこと口に出しちまった日にゃあ、テメエでテメエの舌を引っこ抜くところでしたぜ。危ねえ危ねえ。いや、アタシの舌なんざ二束三文の値打ちもねぇから構わねえんですがね。旦那のお天道様みてえな笑顔が曇るようなこたぁ絶対にあっちゃならねえ。
えっ、何があったのか、ですかい。旦那……ひょっとしてアタシのことを気にかけてくれてるんですかい。くぅううぅ泣けるねぇ。アタシみてえなチンケなモンを、旦那が気にかけてくださる。こんな泣ける話はありゃしねぇ。暖ったけぇ、旦那はホントに暖ったけぇ人だ。まるで心のサーモスでさぁ。
実はね、この前学校で教師の野郎がトンでもねえこと言い出したんでさあ。まあ教師なんてモンはだいたい下らねぇことしか言わねえトンチキですがね。そのトンチキがアタシらの机に変なモノを配りだしたんですよ。何だこりゃ、ってアタシらが怪訝な顔してたら教師の野郎が言うんです。これは『防犯ブザー』ってモンだって。アタシら子供の安全を守ってくれるモンだって言うんですよ。アタシも始めは感心して聞いてやしたよ。ほぉ、こんな小さなシロモノがアタシを守ってくれんのかぁ、そいつぁスゲエや、ハイテクってやつじゃねえか、嬉しいねぇ、ってね。しかも何でか知らねえが『全児童に無料配付』とやらでタダだってんですヨ。こんなハイテク装置をタダで子供に配るなんざ、さすがは経済大国ニッポンだ、って思いやしたよ。でもね、タダより高けぇモノはねぇ、って言うじゃあねえですか。このハナシはまさにソレだったんでさあ。教師の野郎、アタシらにトンでもねえこと言いやがったんですよ。「大人の男が近づいてきたときは防犯ブザーを準備しなさい」ってね。
アタシぁ思わず椅子から転げ落ちそうになりやしたよ。教師ってのは馬鹿だと思ってましたが、その馬鹿もここまで来ちまったのかと。医者がつけるクスリもねえレベルでさぁ。エンドステージでさぁ。開いた口が塞がらねぇですよ。だってそうでしょ。「大人の男を見たら防犯ブザーを出せ」なんざ、失礼極まりねえハナシですよ。世の殿方たちが何したってんですかい。毎日ニッポンのために汗水垂らして働いてくださってる方々じゃねえですかい。稼ぎの大半を女房に渡して、なのに稼ぎが少ない宿六だと罵られ、それでもジッと耐えながら、雀の涙みてえな小遣いで発泡酒を飲んでらっしゃる。女房の言う「少ない給料」のために、満員電車で寿司詰めにされて、理不尽な罵倒に耐えて、他人のミスにも頭を下げて、靴底を減らしながら働いてらっしゃる。そんな殿方たちに向かって、感謝を伝えるどころか、与太者と言わんばかりに防犯ブザーを突き付けるなんざぁ、正気の沙汰とは思えねえ。まるで辻斬りじゃねえですか。
世の中にゃあ、旦那ほどじゃねえにしても、立派な殿方がたくさんいらっしゃる。そんなジェントルメンに向かって防犯ブザーを突き付けるような世の中が、あっていいワケねえんですよ。悪代官に印籠を突き付けるのたぁワケが違うんですよ。だからアタシはトンチキな教師に言ってやったんです。ニッポンを支えてくださる殿方に狼藉を働けたぁどういう了見だ、ってね。そんときに一緒に防犯ブザーも教師の顔面に叩きつけてやりやしたよ。教師のヤツ、「ヒィッ」って締められる前のニワトリみてえな声上げてやがった。ザマァ見やがれってんだ。殿方と与太者の区別もつかねえ、クソとミソの区別のつかねえ教師の野郎をギャフンと言わせて一件落着、チャンチャン。ってアタシが思ってたら、教師の野郎、赤くなった額をさすりながらアタシに言うんですよ。これはショクイン会議で決まったことだから守りなさいって。
だからアタシも言ってやったんですヨ。ショクイン会議ってのがどんだけ大層なモンだか知らねえけどよ、アタシらにくだらねえモン押し付けるんじゃねえよ、ってね。人にモノを頼むんなら少しはマシな絵図を描きやがれ、ってね。だってそうでしょう。ニッポンを支えてくださる殿方に無礼を働くような真似できるワケねえでしょう。教師ってヤツぁガン首揃えてロクなこと考えねえ。とんでもねえ税金泥棒でさぁ。しかも税金ってのは旦那たちの懐から出てるときたモンだ。旦那たちが汗水垂らして稼いだ金を使って、旦那たちを貶める絵図を描いてんですから、タチの悪りぃアベコベ話じゃねえですか。アイロニーだかパラドックスだか知りやせんが、胸糞悪りぃたらありゃあしねえ。無理が通れば道理が引っ込むってヤツですかい。ンなこと言ってるから、ニッポンが駄目になっちまうんですよ。だいたい、子供に一番手ぇ出してる人種は教師じゃねえですか。教師がロリコンなんざ、ガキでも知ってるコモン・センスでさぁ。だったらテメエら教師と一緒のときこそ防犯ブザーが手放せねえな、って具合にまくし立ててやったんですよ。そしたら教師の野郎にお袋を呼び出されちまいましてね。
お袋のヤツ、教師の前に来た途端、何も言われねえうちから「すいませんすいません」って米つきバッタみてえにペコペコ頭を下げやがるんです。情けねえたらありゃしねぇ。先祖代々受け継いだ、おカミにゃ逆らえねえ百姓の血がそうさせるんでしょうな。百姓からすりゃあ「センセイ」なんて呼ばれてる奴らは神様みてえなモンでね。森羅万象何でもご存じの歩く百科事典、センセイの言うことさえ聞いてりゃあ間違いねぇと思ってやがる。ワイドショー見てウンウンうなずいてやがる。センセイがテレビで勧めた食い物は、百姓どもがスーパーに殺到してスッカラカンになっちまう。次の日はセンセイが勧める別の食い物がスッカラカンでさぁ。センセイに言われたことを疑いもしねえ。オツムが無条件降伏してやがる。アレコレ自分で考えて不安になるより、めくらになっておカミの言うこと聞いてるほうが安心なんでしょうなぁ。そんな百姓根性丸出しのお袋ですから、学校に呼ばれたとあっちゃあ、迷える子羊みてえにオロオロするのも無理はねえ。でもね旦那、お袋のヤツ、息を切らして学校に駆け付けたみてえな顔してやしたが、化粧はバッチリ決めてやしたぜ。オンナってのは怖えぇ生きモンですよ。
お袋はアタシに「謝れ」って言うんですよ。もちろんアタシは秒で却下でさぁ。馬鹿言っちゃあいけねえ。こちとら仁義に外れるこたぁ何もしちゃいねえ。悪くもねえのに下げる頭なんざアタシは持っちゃいませんからね。そしたらお袋のヤツ、「産んでやった恩を忘れて」なんて言いやがった。これにゃあアタシもカチンと来てね、大声で怒鳴り返してやりましたぜ。ちょっと待て、アタシは「産んでくれ」なんて頼んだ覚えはねえけどな、って。アタシがいつ頼んだってんだ。証文でもあるってのかい。だったら今ここで出してみやがれってんだ。「親は無くとも子は育つ」なんてモンじゃねえ。子供なんて親がいねえほうが立派に育つんじゃねえかって思えてきますぜ。たしか坂口安吾も同じこと言ってたはずでさぁ。ポン中もいいこと言いやがる。
でもアタシの言葉が過ぎたみてぇで、お袋のヤツ、オイオイと泣き出しちまいやしてね。せっかく決めてきた化粧も涙でボロボロこぼれ落ちてるんでさあ。溶けた蝋人形みてえなツラしたお袋を見たときにゃあ、アタシもちぃとばかしやり過ぎちまったと反省しやしたよ。いやいや、教師のスカタンにやったこたぁ、ちっとも後悔してねぇですがね。むしろ「悔いなし」ってラオウの気分でさぁ。だけどお袋にゃあ、売り言葉に買い言葉とはいえ、言い過ぎちまった。お腹を痛めてアタシを産んでくれた人に言うことじゃあねえ。お袋もねぇ、ああ見えていいトコあるんですよ。夏の縁日でリンゴ飴を買ってくれたりね。休みの日は一緒に遠出してポケモンGOに付き合ってくれるんでさぁ。アタシにゃあ過ぎたお袋なんです。そう考えると、胸がキュウっと苦しくなっちまいやしてね。すまねえお袋、アタシが言い過ぎた。悪かったよ。この通り勘弁しとくれ。知ってのとおり、アタシゃ口が過ぎちまう。なんでこんなに口達者になっちまったのか。お袋がアタシを口から先に産んじまったからじゃねえかね。アハハハハハ。だとしたらお袋、申し訳ねえがアタシの口の悪さはアンタの責任だ。PL法だ。種が悪りぃか畑が悪りぃか知らねえが、こさえたモンは仕方がねぇ。運のツキだと諦めてくだせぇ。なぁに、アタシも今後は波風立てねぇように、口にチャックして暮らしやす。だからここは、どうか手打ちにしてくだせぇ。
アタシがいつもは下げねえ頭を下げてるんで、泣いてたお袋もホッとした表情になってやしたよ。目元の化粧が流れちまって般若みてえなツラになってやしたけどね。ただ、お袋から『防犯ブザー』だけは懐に忍ばせといてくれ、って言われちまいやしてね。いやいやそいつぁできねえ、って突っぱねても、後生だから、って頼み込んできやがる。実のお袋からそこまで頼まれちゃあ、アタシもノーと言えねえですよ。胸クソ悪りぃ代物ですが、お袋にそこまで言われちゃあ、ヘソの緒の代わりと思って持っておくのも悪くねぇかな、ってね。でもね旦那、アタシはこれを旦那の前で出すような真似はしませんぜ。いきなりこんなモン目の前に出された殿方がどんな気持ちになるかってんだい。ご婦人にイチモツ出してる露出狂と変わりゃあしねえ。殿方への破廉恥行為ってモンだ。恥知らずにも程があらあ。アタシら子供の安全を考えてくれるのはありがてぇ話ですがね、だからって殿方に無礼を働いていいって話じゃねえ。ソレとコレとは話が別だ。リベラルだのジェンダーだの意識高ぶってる連中は、ソコがまったく分かっちゃいねえ。アイツらは殿方が優しいから調子こいてるんでさぁ。手を上げねえこと知ってるから言いたい放題でさぁ。殿方をサンドバッグか何かと勘違いしてやがる。今のニッポンで一番ヒデぇ目に遭ってるのは、真面目に働いて税金納めてる殿方たちですぜ。
だからアタシはどんだけ教師どもが「防犯ブザーを出せ」と言おうが知ったこっちゃねぇ。教師どもに舌は出せても、旦那に防犯ブザーなんて出せるワケがねえ。コツコツ真面目に働いてニッポンを支えてくださる殿方に、汗を拭くハンカチは出せても防犯ブザーなんて出せるワケがねえ。誰からも褒められねぇのに清貧に甘んじてる、そんな殿方の味方でアタシはいてぇんですよ。アンサングヒーローを歌いてえんですよ。まぁアタシの音痴はご愛敬ですがね。アタシが今こうして旦那と二人でにいるのに防犯ブザーを用意してねえ。これだけで教師にバレりゃ大目玉だ。でもね、それが何だってんだい。旦那に気持ちよく過ごしていただけるなら、教師の説教なんざ右から左へ馬耳東風でさぁ。
えっ旦那、いま何ておっしゃったんですかい。「防犯ブザーを出せばいい」って言われたんですかい。ちょっと旦那、これまでのアタシの話を聞いてなかったんですかい。でっけえ耳クソでも溜まってるんですかい。いくら旦那でも怒りますぜ。そりゃこの状況でアタシが防犯ブザーを出しゃあ、万事丸く収まりまさぁ。アタシが怒られることもありやせん。センセイの言うことをきく優等生に早変わりでさぁ。頭ヨシヨシでさぁ。でもそれじゃあ、旦那に対してあまりにも不義理ってもんだ。仁義を欠くにもほどがあらぁな。裏切り者だ。そんな光秀やブルータスみてえな真似、アタシにゃできねえ。首をくくったほうがマシってもんだ。満足な豚より不満足なソクラテス、板垣死すとも自由は死せず、でさあ。ですから旦那、そんな目で見ても無駄ですぜ。何度言われてもアタシゃ旦那と二人のときに防犯ブザーなんて出せませんってば。旦那の魂胆はお見通しですぜ。ご自身を与太者扱いさせて、この場を丸く収めようって絵図でしょう。そりゃアタシらガキからすりゃあ文句なしのベストチョイスでさぁ。でもね、その裏で旦那はどうなるんですかい。与太者の烙印を押された旦那の汚名を、誰かが返上してくれるんですかい。コラテラル・ダメージじゃあ済まされやせんぜ。だから旦那、勘弁してくだせぇ。そんな優しい目で「防犯ブザー用意しろ」なんてアタシに言わねえでくだせえよ。
畜生、ちくしょうめ。とんでもねえ世の中だ。馬鹿どもが作ったルールのせいで、何もしてねえ人が傷を負う。いざこざが起こると、損をするのはいつも気が利くほうときたもんだ。人の性根なんざ、キリストさんが丘の上で磔になった頃から何にも変わっちゃいねえ。恥知らずほど我が物顔で歩いてやがる。キリストさんは後から弟子のフォローで名誉挽回できたが、旦那はどうなんです。旦那がアタシに示してくれた優しさなんざ、周りは誰も気づいてくれねえ。それどころか、他所の連中から見りゃあ、ガキに警戒された与太者に映っちまう。それじゃあ旦那が不憫すぎる。「善く行く者は轍迹なし」とはいえあんまりじゃねえか。旦那の優しさは気づかれることもなく、湯舟でこいた屁みてえに消えちまう。畜生、この世は馬鹿と恥知らずが跳梁跋扈する黙示録じゃねえか。アポカリプスじゃねえか。でも、だからこそ旦那みてえな人がいらっしゃるのかもしれねぇ。誰も見てねえところでも、損得抜きでアタシらみてえなモンに優しさを与えてくれる、観音様みてえな人が。だとしたら、旦那の優しさを無下に断るほうが罰当たりなのかもしれねぇ。出された飯は残さず平らげろ、ってお袋にもよく言われてたモンだ。ここは旦那にお人柄に甘えて、防犯ブザーを出すのが一番なのかもしれねえ。それじゃあ旦那、すまねえがアタシは懐から防犯ブザーを出させていただきやすぜ。
おや、旦那の前で防犯ブザーを出そうと思ってやしたが、予期せぬ事態が起こっちまいやした。どうやら、すでにアタシが降りる階に到着したみてえです。ずいぶん移動が速えぇエレベーターだ。しかし、おかげで旦那に防犯ブザーを出さずに済んだってモンです。これもアタシの日頃の行いが良いからですかね。すいやせん、調子に乗り過ぎやした。テヘペロでやんす。それじゃあ旦那、アタシはそろそろお暇させていただきやす。旦那とはいつまでも話してぇところですが、あんまりおしゃべりが過ぎると殿方に嫌われちまいますからね。沈黙は金、雄弁は銀。金は百歳、銀も百歳。田村で金、谷でも金。おっと、こういうのがよくねぇんだ。これから旦那はスポーツクラブでトレーニングでしょうが、鍛えるのもほどほどにしてくだせえよ。それ以上筋肉つけたらシュワちゃんみてえになっちまいますぜ。アイ・ウィル・ビー・バックつって、帰りのエレベーターでも一緒かもしれやせんなぁ。うははははは。それじゃあアタシは液体金属に変形してエレベーターのドアこじ開けますかな。わははははは。いっそのこと、旦那もシュワちゃんみてえに政治家になったらどうですかい。大歓迎ですぜ。今の政治家どもより百倍はマシってモンでさぁ。ぜひとも永田町に乗り込んで、消費税に卍固めを極めてやってくだせえ。旦那みてえな人こそ、ニッポンの舵取りをすべきですぜ。ヨーソロー、お前が舵を取れ、つってね。
ほんじゃアディオス、旦那。お達者で。これにてドロン、ときたモンでさぁ』

 

いかがでしょう。
防犯ブザーを出すときは、最低限これくらいのひと言は欲しいですね。

雑記
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