こんにちは、やまぴーです。
本日ご紹介する映画は、第90回アカデミー賞最多13部門ノミネートのこちらだギョ!
『シェイプ・オブ・ウォーター』日本版予告編
アカデミー賞ノミネート以外にも、ゴールデングローブ賞2部門受賞、ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞、その他にもいろんな賞に受賞やノミネートされてる期待の作品!ギョギョギョ!
『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ監督が贈る
切なくも愛おしい、誰も観たことのない究極のファンタジー・ロマンス
デルトロ監督の待望の新作!
でもやまぴー的には、デルトロ言うたら『パシフィック・リム』やろ!「エルボーロケット」やろ!
と、言いたいところですが、グッとこらえて先に進めます。
まずはあらすじとキャスト、そして感想はネタバレあり/なしのふたつです。
あらすじ
1962年、アメリカ。政府の極秘研究所に勤めるイライザは、秘かに運び込まれた不思議な生きものを見てしまう。
アマゾンの奥地で神のように崇められていたという“彼”の奇妙だが、どこか魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行くようになる
子供の頃のトラウマで声が出せないイライザだったが“彼”とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。
音楽とダンスに手話、そして熱い眼差しで二人の心が通い始めた時、イライザは“彼”が間もなく国家の威信をかけた実験の犠牲になると知る─。(公式HPより)
キャスト
イライザ・エスポシト – サリー・ホーキンス
政府の極秘研究所に掃除人として働いている。子供の頃のトラウマで声が出せず、手話で会話をしている。
演じるのは、『ブルージャスミン』『GODZILLA ゴジラ』『パディントン』シリーズのサリー・ホーキンス。
ストリックランド – マイケル・シャノン
不思議な生き物のとともに研究所にやってきた監視人。政府からの信頼が厚く、冷酷な性格をしている。
演じるのは、『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』『マン・オブ・スティール』『ノクターナル・アニマルズ』のマイケル・シャノン。
ジャイルズ – リチャード・ジェンキンス
イライザの隣の部屋に住む絵描きの老人。人づきあいが苦手でイライザが唯一の友人。
演じるのは、『ホワイトハウス・ダウン』『スポットライト 世紀のスクープ』『キングコング:髑髏島の巨神』のリチャード・ジェンキンス。
不思議な生きもの/アセット – ダグ・ジョーンズ
政府の極秘研究所へ水槽とともに運ばれてきた謎の生命体。現地では神のように崇拝されていた。
演じるのは、『ヘルボーイ』シリーズ、『パンズ・ラビリンス』『ファンタスティック・フォー 銀河の危機』のダグ・ジョーンズ。
ロバート・ホフステトラー博士 – マイケル・スタールバーグ
不思議な生き物を研究している博士。研究の方針について、ストリックランドと衝突する。
演じるのは、『女神の見えざる手』『ドクター・ストレンジ』『メッセージ』のマイケル・スタールバーグ。
ゼルダ – オクタヴィア・スペンサー
イライザと同じ研究所で働く同僚。イライザのことをいつも気にかけている。
演じるのは、『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』『ズートピア』『ギフテッド』のオクタヴィア・スペンサー。
ネタバレなし感想
この映画をひとことでまとめると、
子供時代に読んだおとぎ話の常識をひっくり返す、大人のためのファンタジー
評価:★★★☆☆
こちら映画、日本ではR15指定で公開されています。その理由は映画開始すぐにわかると思います。
映画を観た後はコーンフレークを見ると顔が赤くなるはずです。
また、日本で公開するにあたって勝手にモザイクが入っている箇所があるとか、物議を醸しています。
やまぴーの意見としては、アレはモザイク入れないと日本で公開できなかったと思います。
物語は、あらすじにあるとおり、政府の極秘研究所に運び込まれた半魚人みたいな生き物と、研究所に勤める口のきけないけっこうフケ顔な掃除婦との心の交流、というかラブを描いた作品です。
『美女と野獣』や『シザーハンズ』などでも取り扱われている「異種族間のロマンス」。
デルトロ監督は、これまでのおとぎ話にあった「綺麗な愛」に疑問を持っていたようです。『美女と野獣』でいえばヒロインは純粋無垢、野獣はラストでカッコいい王子様になりハッピーエンドです。
こうした今までおとぎ話のアンチテーゼとして『シェイプ・オブ・ウォーター』は作られました。たしかに、ヒロインの日々の描写がアレだなんて絶対ありえませんね。エマ・ワトソンがやったら一大事ですね。
さすがはオタクのデルトロ監督、ユニークな考えです。怪獣を攻撃する武器に巨大タンカーをチョイスするだけのことはあります。
登場人物はみな個性的。それこそチョイ役で出てくるパイ屋の兄ちゃんでさえも個性的。悪い意味で。
彼らの個性や考え方のデコボコが、ぶつかったりうまくハマったりしてストーリーは進んでいきます。
デルトロ監督の映画『パンズ・ラビリンス』が、ファンタジーなパッケージなのに観てみるとかなりダークなファンタジーだったので、今回の『シェイプ・オブ・ウォーター』もけっこう身構えてましたが、パンズよりは軽く見れました。笑える部分も多かったし。
ただ、どちらもお子様向けの映画ではないことは確かです。
ラストについては、人によって解釈がいろいろと異なると思います。やまぴーは一緒に観に行った嫁と解釈が違いました。だがそれがいいです。
声が出せない人や毛の薄い人に勇気を、じゃなくて見る人全員に心地よい幻想を与えてくれるファンタジーです。あまり激しい展開はありませんが、観ているとやんわりとした不思議な心地よさに包まれますよ。
15歳以上の人は観て損はない作品です。
※ここから先はネタバレありです。知りたくない人は映画鑑賞後にまたお会いしましょう。
ちゃんと映画観てるよな?
ネタバレあり感想
格言付きあらすじと感想
いきなりR15指定の理由がわかる冒頭でのイライザの入浴シーン。おっぱいが出てきてキャー!って思ったら、そのままオナニーが始まってさらにキャー!!しかも日々の日課としてたびたび登場します。
純粋無垢なヒロインが嫌だからって、デルトロ監督も振り切ったことしてくれますね。
でもあらかじめ時計をセットするっていうのはナイスアイデアですね。いつもダラダラとしちゃう人は試してみてください。
【格言】オナニーは時間を決めて行うべし
繰り返されるイライザの日常。行動も時間もいつも同じ。毎日毎日ぼくらは鉄板の、なルーティンの繰り返し。冷戦時代からつまらない仕事と日常ってあるんだな、と気づかされるワンシーンです。
そんなところに半魚人な彼(アセット)が頑丈な水槽と共に登場、なのはひとまず置いといて、イライザと同僚のゼルダは男子トイレを清掃中。エリートが集まる施設なのに的を外しまくってると憤慨するゼルダ。天井にまで飛び散っていると。
トイレを掃除される人のためにも、男性諸君は的を外さないように心掛けたいですね。
【格言】地位に関係なくおしっこのときは一歩前へ
イライザとゼルダが清掃中のトイレにコワモテでホントに怖いストリックランド登場。
ゾット将軍といい、『ノクターナル・アニマル』の刑事といいとにかく顔が怖い。
トイレの前のシーンでも「自分は神様にそっくり」みたいなことを言ってて、そりゃゾット将軍がおっしゃるとおりですよ、とビクビクです。
ただ、今回はトイレに入ってはじめに手を洗うと「トイレで二回手を洗う奴は軟弱者だ」と、ちんちんを触った手のままトイレから出ていきます。
うわこの人バカじゃん。良かった。『パンズ・ラビリンス』の大尉みたいな奴なら嫌だと思ってましたが安心しました。
【格言】トイレで手を洗うのは後にすべし
その後も、ストリックランドは「ポジティブシンキング」とかいう意識高い系の本を読んだり(用があるときはノックが必須)、緑色…じゃなかったティールのキャディラックを買ったら速攻ぶつけられたり、マスタードにまみれた指をくっつけたらどんどん黒ずんできたり、手話で「ファッキン」って言われてキョトンとしてたり、かなり愛すべき悪役になっています。
極めつけは、アセットが逃げた件を内密にしようとしたところ、部下から「もう元帥に報告しました!」と元気に報告されたときの「マジで?」な表情。やまぴー的にはこの映画で一番好きなシーンです。
【格言】問題は直属の上司に報告すべし(飛ばしちゃダメ)
王子様役のアセットも、喧嘩したネコちゃんを頭からバリバリ食べたり、ジャイルズにケガさせたお詫びにごめんね増毛やったり、”This is Me”と言わんばかりにミュージカルはじめたり、いいキャラしてます。
イライザの部屋から逃げ出して、一階で映画を観てるシーンにはある意味で度胆を抜かれました。
ものすごい事件に発展すると思ったのに。
その後イライザと、ものすごいことに発展するけど。
【格言】赤い服は情事のサイン
ストリックランドが覚悟を決めて、腐った指と一緒に自制心を吹っ飛ばしてからは怒涛の展開。
ソ連のスパイだけどいい人、というおいしい役どころのデミトリは、仲間から腹とほっぺ撃たれるわ、ストリックランドからはお仕置き電撃棒されるわの踏んだり蹴ったり。
っていうかデルトロ監督はほっぺに穴開けるの好きですね。パンズの大尉も撃たれたよね。フェチなのかな。
大雨の降りしきるなか、約束の桟橋では海を目前にして王子様とお姫様は悪者の銃弾に倒れます。
うわあ、この物語はバッドエンドなのかあ、と思っていると、ジャイルズが増毛のお礼にストリックランドへ木材の一撃。ジプシー・デンジャーの巨大タンカーでの一撃を彷彿させます。
そこからアセットがまさかの復活。そしてイライザを抱き上げると、二人とも水の中へ消えていきます。
ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、『パンズ・ラビリンス』のオフェリアを思わせるラストです。
【格言】何でも過去作品にこじつけるな
ラストシーンの解釈
『パンズ・ラビリンス』と同じように、水の中へ消えたあとの二人がどうなったかは観る人の判断に委ねられます。映画のとおり、首の傷がエラとなって生き返ったのか、それともそのまま死んでしまったのか。
多くの人が生きてる案を選ぶのが普通でしょう。
ただやまぴーは、ハッピーエンドでありながら一緒に観た嫁とちょっと解釈が異なりました。
嫁はイライザがアセットによって傷を治されて(エラがついて)蘇ったんだと思ってます。
一方やまぴーは、イライザは元々半魚人で、最後の瞬間に覚醒して蘇ったんだと思ってます。
アセットが撃たれたお腹を触ってなかったし、口がきけないし川に捨てられていたし雨が降ること予想できてたし、バスのシーンで水滴操ってたし、間違いないと思ってるんですがいかがでしょうか。
アセットと違ってまんま外見は人間ですが、雄と雌で形態が異なる種はたくさんいるからアリだと思ってます。
毎朝の日課で時間制限をかけてましたが、あれが時間無制限だったら絶頂に達した瞬間に覚醒してたと思います。嘘です。お下品ですいません。
ただ、イライザも半魚人だと「異種族間のロマンスはどうなった?」ってことになるんですが、まあ細かいことはいいじゃないですか。
【格言】映画の解釈は人それぞれでよし
まとめ
ストーリー展開、雰囲気ともにかなりやまぴー好みな大人向けファンタジー映画でした。『パンズ・ラビリンス』よりこっちの方がだいぶ好きです。
ただ、やまぴーは『パシフィック・リム』が好きすぎるため、どうしても「デルトロならもっとやれたはず」という思いがあり、物足りなかったのも事実です。期待が大きすぎたかな。
そしてアカデミー賞を争うライバル『スリー・ビルボード』と比べると、内容的にシェイプが賞を取るのは厳しいかなあ、と思います。
しかし、「オナニーすれば主演女優賞を獲れる」ことは『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンが証明してますので、主演女優賞は問題ないでしょう。
今回は最後までお下品でごめんなさい!
◆こちらもオススメ
『シェイプ・オブ・ウォーター』
[The Shape of Water]
キャスト
イライザ・エスポシト – サリー・ホーキンス
ストリックランド – マイケル・シャノン
ジャイルズ – リチャード・ジェンキンス
不思議な生きもの – ダグ・ジョーンズ
ロバート・ホフステトラー博士 – マイケル・スタールバーグ
ゼルダ – オクタヴィア・スペンサー
エレイン・ストリックランド – ローレン・リー・スミス
ホイト将軍 – ニック・サーシー
フレミング – デヴィッド・ヒューレット
監督 ギレルモ・デル・トロ
脚本ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー
原案 ギレルモ・デル・トロ
製作ギレルモ・デル・トロ、J・マイルズ・デイル
製作総指揮 リズ・セイアー
音楽 アレクサンドル・デスプラ
撮影 ダン・ローストセン
編集 シドニー・ウォリンスキー
製作会社 Bull Productions
配給 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ